データ主導の「ダイレクト」から、
人を主語にした「ダイアログ」へ

小西:私もデータ分析は専門領域ですが、最近よく「ビッグデータ」など、デジタルメディアで生み出される大量データの統計分析でも、短期的なマーケティング効率ばかりが注目され、危うさも感じます。

橋本:実際にわれわれの会社では、もう10数年以上前からビッグデータを扱ってきました。ところが、顧客がマスになるにつれ、統計データ分析でマーケティング効率を高めるノウハウは高めてきたものの、顧客を見る目が「100万人」から「100万件」になってしまっている。つまり数字にとらわれて、「人」を見る力が弱くなっているかもしれないという反省があります。短期の効率性だけでは効果的なダイアログやエンゲージメントの形成ができない。

小西:なるほど。ダイレクトがマス化した中で、もう一度顧客とのダイアログを取り戻すことが必要だと。それは重要な指摘だと思います。そこには、多くの会員を抱えるベネッセにとって、企業と顧客の一対一の関係を超えた会員どうし、あるいはその家族や地域のコミュニティの価値をより拡げていくチャンスがあるのではないでしょうか。

橋本:昔は進研ゼミでも会員同士をつなぐ仕組みを運営していましたが、会員規模が大きくなりすぎると、扱いきれなくなってくる。しかし、デジタル化により新しいコミュニケーション・プラットフォームを活かした新しいやり方を再構築できる可能性があります。100万人規模の会員の横のつながりには、教育としても大きな可能性があると思います。

小西:ぜひ、期待したいと思います。本日は、ありがとうございました。

(次回は3月21日更新予定です。)


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