「会社に対する不満が蔓延している」、「なぜか人が辞めていく」、「社員にモチベーションがない」など、具体的な問題があるわけではないけれどなぜだかモヤモヤする職場になっていないだろうか。そんな悩みにおすすめなのが、近年話題の「組織開発」というアプローチだ。組織開発では、「対話」を通してメンバー間の「関係の質」を向上させていく。そんな組織開発のはじめ方を成功事例とともに紹介したのが、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』(中村和彦監修・解説、早瀬信、高橋妙子、瀬山暁夫著)だ。本記事では、発売前から話題沸騰となっている『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の出版を記念して、著者鼎談の一部を抜粋し再編集してお届けする。

45歳以上のミドル人材が見捨てる「ざんねんな会社」の特徴とは?Photo: Adobe Stock

ざんねんな会社に共通する、40代後半からの「組織離れ」

瀬山暁夫(以下、瀬山):いま、特に大企業に関して思うのは、人間関係を円滑に保つための伝統的な前提が揺らいでいることです。

 たとえば年功序列などといった、かつては社会全体で広く受け入れられ、組織をまとめていた拠りどころが変化してきていると思います。

 その影響は社長が強力なリーダーシップを発揮できる中小企業より、大企業のほうが大きいように思います。

 一昔前であれば、経験豊富な年上の社員が重要な立場に就いて意思決定してくれたら良いよね、という暗黙のルールで組織が丸く収まっていたという一面もあるでしょう。

 でも、いまはそういう時代ではありません。リーダーを選ぶ基準を年齢や性別以外の何におけばみんなが納得するのか、そうした根本的な前提から話し合う必要があります。

高橋妙子:組織に遠心力が働く時代ですよね。

 大企業は特にそうですが、早期退職を促されることなどの事情から、ほとんどの人が45歳ぐらいから企業に意識が向いていない。自分の未来、独立後のことを考えている。組織を良くするために何かやろう、という意識を持ちにくい時代です。

いまこそ求められる「組織開発」

早瀬 信:だからこそ、モチベーションや愛着心、信頼といったエンゲージメントが企業で問われています。

 従業員の意識調査「エンゲージメントサーベイ」を実施した大方の企業で、その数値が悪くなってきている。そこでエンゲージメントを上げるために「ウェルビーイング」や、少し前だと「ワークライフバランス」「働き方改革」などの言葉が使われていますよね。でも、なかなか浸透していないのが現実ではないでしょうか。

 本来、エンゲージメントは、現場レベルでの働きやすさや、その組織の雰囲気の良さなどに依存しています。だからこそ、部署ごとに組織開発が充実しないと、絶対に上がらないはずなのです。

瀬山:そう考えると、組織開発はクリティカルな課題が発生して初めて着手するということではなく、日頃から取り組むべきものなのかもしれませんね。

(本原稿は、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の内容を抜粋・編集したものです)