今後、経費が寄付総額の5割を超えている状態が長期に及ぶ自治体は、制度への参加が難しくなるという。

肉や米などの返礼品は
産地・加工を同一都道府県に

 二つ目は、返礼品の条件に関するルールの変更だ。総務省が発表した「ふるさと納税の次期指定に向けた見直し」には「加工品のうち熟成肉と精米について、原材料が当該地方団体と同一の都道府県内産であるものに限り、返礼品として認める」とある。

「これまでは、外国産のお肉や他地域のお米を仕入れて、熟成肉や精米などの加工のみ地元で施した場合も、“返礼品”として提供できました。しかし、ルールが改正されると、肉と米は原材料の産地と加工、どちらも同一都道府県で行わなければ、返礼品として出品できなくなります」

 さらに、地元産の返礼品が全体価格の7割以上を占めなければならないというルールも定められた。これは過去に地元産のタオルと、他地域産の家電をセットにした返礼品があったため、そうした事例を防ぐ狙いがあるという。今回の改正で、これまで曖昧だった“地場産の基準”が、一部明確化した形になる。

「2010年代には、電子機器や宝石など高額な返礼品が並び、自治体同士の『返礼品合戦』が問題になりましたよね。そこで政府は、寄付額に対する返礼品の調達費を3割以下と決めて、高額なものや換金性が高いものは扱わないように要請しました。このように、ふるさと納税は返礼品が“なんでもあり”になったタイミングで規制が入る、というイメージもありますね」

 ふるさと納税が始まってから、すでに15年がたつが、今後も制度内容の調整は続きそうだ。

値上げや減量の懸念もあるが
「駆け込み寄付」は要注意

 10月からのルール変更は、ふるさと納税を利用する人々にどのような影響があるのだろうか。

「まず、5割ルールを徹底するために、自治体は寄付の金額を上げたり、金額を維持するために量を減らしたりする可能性があり、寄付する人はその影響を受けます。ただ、各自治体にとっては、これまでなおざりになっていた諸経費の見直しにつながるので、この機会に経費を5割以下にする仕組みを作れば、確実に寄付金の5割が自治体に残る、というメリットもありますね」

 もう一方の肉・米の地場産基準の変更は、他地域の原材料を使っていた返礼品が扱えなくなるので、品数が減ると予想されている。

 これらのルール変更を知り、駆け込みでふるさと納税をしたという人もいるかもしれないが「あまり急ぐのはおすすめしない」と、内山氏。