JR東日本 脱・鉄道への分岐点#1Photo:JIJI

鉄道最大手、JR東日本が鉄道への集中を脱却する「脱・鉄道」路線を加速している。変革をトップとして主導してきた深澤祐二社長は就任6年目を迎え、同社の慣例にならえば、来期にはトップ交代があるとの観測が出ている。では、次期社長レースの最右翼は誰か。特集『JR東日本 脱・鉄道への分岐点』(全5回)の#1では、社長レースの大本命の実名を挙げるとともに、その理由を解説する。(ダイヤモンド編集部 梅野 悠)

JR東の社長任期の慣例は6年
「来期にも社長交代」の観測

「鉄道はコロナ禍前には戻らないことを前提に、抜本的な構造改革やサステナブルなキャッシュ確保に努めていく」。JR東日本の深澤祐二社長は、今年4月に開かれた2023年3月期の決算説明会でそう強調した。

 JR東日本は18年に公表した中長期の経営ビジョン「変革2027」で、本業の鉄道事業に加え、不動産や流通・サービスといった非鉄道事業の強化を掲げた。新型コロナ禍で大打撃を受け、鉄道への集中からの脱却はいよいよ大きな課題となっている。

 JR東日本は赤字ローカル線という“レガシー”改革にも乗り出している。深澤氏は昨年末のダイヤモンド編集部のインタビューに対し、「協議会を発足させて話し合い、実証事業を行う」と明言。宣言通り今年に入り、千葉県の久留里線など3路線で、同社と沿線の自治体との間で協議会が立ち上がり、議論が始まっている。

 まさに分岐点にあるJR東日本の経営のかじ取りをトップとして担ってきたのが深澤氏である。

 ただし、深澤体制は最終盤に差し掛かりつつある。実は、JR東日本には社長任期に関する慣例が存在する。歴代の5人の社長の任期を見ると、2代目社長の松田昌士氏の7年を除き、全員6年間で任期を終えている。18年4月に社長に就いた深澤氏も就任6年目に突入しており、「来期に社長交代」との観測が浮上している。

 分岐点を迎えているJR東日本で社長として引き続き大改革を担うことになるのは誰か。次ページでは、「ポスト深澤」の大本命の人物の実名を紹介するとともに、その理由も解説する。