不登校で最多の要因は
本人の無気力

 そんななか、不登校に至った理由を生徒本人ですらわかっていない場合も増えているという。

「不登校、となると、まず『いじめ』が原因と考える人もいると思うのですが、実は統計上、いじめが原因の不登校というのは意外と少ないんです。文科省の令和3年度不登校児童の実態調査によると、一番多い要因は『本人の無気力』。これは小学生、中学生どちらにも共通していて、無気力の背景にもいろいろな要素が絡み合い、複合的なストレスが不登校につながっていると考えられます」

 生徒自身、明確な理由がわからないという「無気力不登校」。理由のハッキリしない不登校に子どもが陥ったとき、親はどのように対処すべきなのか。

「家庭内の空気、親御さんのメンタルを明るく穏やかに保つことは重要です。一番身近な大人の心をまず安定させて、過剰に焦ったり不安を感じたりしないようにしましょう。生活の基盤である家庭環境は子のメンタルにも大きく影響し、家庭が安心できる場所になっている場合、子のストレス耐性は強くなる傾向にあると感じます。教師時代の経験を振り返っても、環境の変化や家庭内のストレスが子どもの漠然とした不安・無気力感につながっているのでは、と考えられるケースがいくつかありました」

 とはいえ、不登校=家庭に問題がある、と誤解してほしくないと観世氏は続ける。

「子どもが不登校になると、保護者の方も不安を抱えることになると思います。自分を責める親御さんも多く、真面目な人ほど思い詰めてしまう。でも理由がハッキリしない不登校の場合、大人がどれだけ心を尽くしても解決に向かわないことはたくさんあります。自分を責めず、一人で抱え込まない。不登校は保護者だけで解決できる単純な問題ではないので、学校や外部機関と連携しながら、お子さんをサポートしていく必要があります」