「会議がうまく仕切れない」「商談に自信が持てない」「プロジェクトを進めるのに苦労している」…。こんな悩みを持つ人はたくさんいるはずだ。そこでお勧めしたいのが『今すぐ結果が出る 1ページ思考』。本書では、考えを1ページにまとめ、思考を研ぎ澄ませる手法を紹介している。このメソッドは、ミーティングやプロジェクトにとどまらず、ビジネスプランの説明や、本を読んだ学びのまとめ、人生プランの計画など幅広く活用できる優れものだ。本稿では、本書より一部を抜粋・編集して、「1ページ思考」とは何かについて紹介していく。(構成:長沼良和)

1ページ思考Photo: Adobe Stock

手書きから始まる「1ページ」思考

 「1ページ」思考は、「手書き」から始まる。

 本書の著者である長谷川晋氏は、いきなりパソコンで「1ページ」を作ろうとせず、しっかり考えてから作ることが重要だと考える。

 そのため長谷川氏が行っているのが、「ノートに手書きで下書きを作ること」だ。

私はモレスキンのB5サイズのノートを使っていますが、左ページは「1ページ」の骨子となるキーポイントを書いていきます。そして、右ページで形にしていく。(P.202)
1ページ思考の書き方長谷川氏の手書きの下書き

 左ページにポイントになる項目を書き込む。その際に思いついたことをどんどん書いていく。伝えなければならないことやミーティングの後にどう考えてもらいたいのか、どんなポイントについて話し合っていったらいいかを出していくのである。

 そして、右ページには、左ページに書き込んだ内容を見ながら整理して書き直すのだ。

まずは左ページで重要なポイントを書いていき、右ページで整理しながら形にしていく。その過程の中で「目的」のために、何が必要なのかをとにかく考え抜いていく。そのための下書きは、大きな意味を持つと思っています。(P.206)

「1ページ」の流れを決める

 具体的に、「ミーティングをする」というケースで説明してみよう。

 「1ページ」思考では、その際に「目的」「背景」「討議ポイント」「ネクストステップ」の4項目を検討する。

 「下書き」では、まずミーティングの「目的」や、情報を共有するために必要な「背景」にはどんなことを書けば良いかを熟考する。話し合いを進めていく上で、参加者全員が目線を合わせるための情報を網羅していく。

 その上で、「討議ポイント」にどんな会話のキャッチボールをしていくかイメージしながら書いていく。ブレインストーミング的に幅広くアイディアを出して討議していくのか、最初からテーマを絞り込んで話をしていくのか。そんな話し合いの流れを意識しながらメモしていく。

 最後の「ネクストステップ」については、結論が出た後に、どんな行動をしていくかについて日付を入れて書く。

 ここまで手書きしたら、初めてパソコンを開いて「1ページ」を作成していくことになる。

この手書きメモをベースにして、いよいよパソコンを開き、Google DocsやWordを起動して実際の「1ページ」作成に取りかかります。(P.204)

パソコンの前に手書きで考えるワケ

 そもそも、なぜ「1ページ」の作成を手書きからはじめるかというと、パソコンでいきなり書き始めてしまうと、書きながら考えてしまうからである。

 その結果時間ばかりかかってしまうことになる。

 試行錯誤して考えることと書くことを分けるには、手書きで考えるところからはじめるのが有効である。

 さらに、パソコンにはない手書きならではの効能があるという。

個人的な好みですが、ペンを持って実際に手を動かしながら紙に書き、それを自分の目で見ながら進めるほうが、頭の中の整理ができたり、クリエイティブな発想が湧いてきたりする感覚が私にはあります。(P.205)

 この辺のやり方は、人によって異なってくると思われる。手書きにこだわらなくても、マインドマップを使ってみたり、ロジカルシンキングで使うフレームワークを活用してみたりと、自分に合ったやり方を模索してもらいたい。

 いずれにしろ重要なのは、「1ページ」を作るためにしっかり時間をかけて考えることなのである。

1ページ思考の具体的なイメージ1ページ思考の具体例(上記内容はあくまで架空のものです)

手書きは思考を整理してくれる

 著者は手書きで考える際に、消せるボールペンを使っているという。書いては消し、書いては消しを繰り返して試行錯誤することで、考えをまとめていくのである。

 下書きをしていないと、情報量が多すぎる「1ページ」を作ってしまうことも多い。

 少しでも情報を多く盛り込みたいのはわかるけれど、実際には、情報過多になるのは考えきれていない証拠である。

 ミーティング中の参加者たちのことをイメージすれば、どんな「1ページ」を作るのがベストか見えてくる。

リアルに相手のことを、さらにはミーティングの場を想像する。例えば提案書であれば、相手が読んでいるシーンや会話のキャッチボールをしているシーンを想像する。そうすれば、30分しか時間がないのに、情報がびっしり詰まった「1ページ」を持っていくことの違和感にも気づけます。(P.207)

 話し合っている情景を徹底的に想像することで、どんな話が展開されるか見えてくる。それにより思考が整理されて、最小限の情報を「1ページ」に盛り込めるのである。