「会議がうまく仕切れない」「商談に自信が持てない」「プロジェクトを進めるのに苦労している」…。こんな悩みを持つ人はたくさんいるはずだ。そこでお勧めしたいのが『今すぐ結果が出る 1ページ思考』。本書では、考えを1ページにまとめ、思考を研ぎ澄ませる手法を紹介している。このメソッドは、ミーティングやプロジェクトにとどまらず、ビジネスプランの説明や、本を読んだ学びのまとめ、人生プランの計画など幅広く活用できる優れものだ。本稿では、本書より一部を抜粋・編集して、「1ページ思考」とは何かについて紹介していく。(構成:長沼良和)

1ページ思考Photo: Adobe Stock

ビジネス上の厄介ごとをシンプルに一発解決

 いきなりプロジェクトを任されて、リーダーとしてチームを率いなければならなくなったという経験はないだろうか。

 何をどうやってもメンバーをうまくまとめられず、ミーティングをやっても結論が出ない…。プロジェクト進行がギクシャクして納期に間に合わない、初めての経験ばかりで何をやってもうまくいかない…。

 それらを一発解決できる方法があるとしたら興味はないだろうか。

 そのシンプルかつ最強の方法が「1ページ思考」だ。

「1ページ」にまとめる準備の段階で、自分の思考を研ぎ澄ますことになります。ビジネスの大局観、自分は何をするべきだと思うのか、決裁者から見てどのような情報が必要なのか、進める上での段取りなど、物事を動かすために知恵を絞る。そうさせるのが「1ページ」なのです。(P.3)

「ビジネスの戦闘力」のベースとなるもの

 本書の著者である長谷川晋氏は、名だたる企業を渡り歩いた。東京海上、P&G、楽天の上級執行役員、Facebook Japanの代表取締役、そして自身の会社MOON-Xを起ち上げるに至る。

 その輝かしいキャリアの根幹になるものが「ビジネスの戦闘力」であるという。

その「ビジネスの戦闘力」=「ビジネスでどこに行っても結果を出すための力」を因数分解してみると、大きく2つあると思っています。一つは、考え抜いて肚を決める力。もう一つが、ポジティブに人を巻き込む力です。結果は、その掛け算なのです。(P.3)

 この「考え抜いて肚を決める力」「ポジティブに人を巻き込む力」を実現できたのは「1ページ思考」のおかげであると著者は断言している。

 著者は提案書や社内メモを「1ページ」にまとめ、それを見ながら議論すると、質の高い話し合いができ、的確な判断ができることを学んだのである。

1ページ思考の具体的なイメージ1ページ思考の具体例(上記内容はあくまで架空のものです)

「1ページ」で大きな成功を得られる人がいるはず

 こうして著者は「1ページにまとめること」をどんどん実践するようになった。

 同時に、次第にこれが考えを整理するプロセスであることに気づいた。

「自分はこうしたい」と周囲に伝えられ、他の部署の人たちも効果的かつ前向きに巻き込んでプロジェクトを推進させていけることを発見したのである。

 その結果、どんなミーティングを仕切ることも平気になったのだ。

 さらに、「1ページ思考」には汎用性があることに気づいた。

もし、P&Gで「1ページ」にまとめるというシンプルながらパワフルな手法に出会わなければ、今の私はいないかもしれません。
であるならば、日本にはちょっとしたきっかけさえあれば、劇的にステップアップできる人がたくさんいるのではないか、ということに気づきました。(P.4)

 自分にしっくりくる思考法やアプローチの型があれば、もっと自信を持ち、さらに大きな成果を出せる人が必ずいる。そこに寄与したいと思うようになったという。

「1ページ」にまとめて思考を研ぎ澄ませる

 ポジティブに人を巻き込むには、まったく違う部署で働く専門家を横断的に束ねなければならない。彼らはひとりひとり目線が異なる。

 例えば、営業部は「いかにこの商品を売ればいいか」と考え、商品開発部は「他社製品との違いをどう構築するか」と考える。

 そこで大事なのは、いかに目的と情報をすり合わせ、各メンバーの目線合わせをしていくかということだ。

つまり、いかに目的と情報をすり合わせるか、目線合わせをしていくか、が大事になるということです。それをしっかりとミーティングで実現していく仕組みがあったほうがうまくいく。そのことに次第に気づいていったのです。(P.22)

 一見、バラバラの目線を合わせていくのは困難であるが、「1ページ」を活用すると、次第に全員の目線が合うようになり、面白いほどミーティングがうまく進むようになるのである。