トップを刷新したアリババは若返り、
今後、AIに最大限の力を注ぐ企業になるはず
呉氏は引き継ぎ完了後すぐに社内に向け、「顧客ファースト、AI駆動 起業家マインドでさらに大きな価値を創造する」と題したメールを送信した。そしてそこではっきりと、今後の業務戦略のグレードアップを図り、特に「技術に駆動されたインターネットプラットホーム事業」「AIに駆動されたテクノロジー業務」、そして「グローバル化したビジネスネットワーク」の三つに力を入れていくことを宣言した。
さらに今後、1985年以降生まれ、90年代以降生まれの若い社員を管理者に抜擢し、社内の若返りを図ることも強調した。この点も、張勇氏時代とはっきりと決別する意図を示したとも言われている。
考えてみれば、それも当たり前といえるのかもしれない。今や世界中のテクノロジー企業がAI技術の研鑽にしのぎを削っている。アリババも例外ではなく、この激しい戦いに勝ち抜くための同部門のトップとしては、財務畑出身の張氏よりも技術者出身の呉氏のほうがふさわしいといえる。
また、コロナを経て世界及び中国の消費意欲は以前に及ばなくなっている。昨年の「ダブル11」では、アリババは同キャンペーンが始まって以来初めて、売上高を公表しなかった。これまで右肩上がりが続いてきた同キャンペーンがすでに倦怠期、あるいは飽きられ始めていることの現れだと言われている。
「過去の偉業」との間にしっかりと線を引き、新しい時代を生き抜けるよう会社を若返らせ新体制を作る……それが今回の人事、トップ交代の狙いだったのではないか。呉氏の言葉から、今後アリババは「AIに駆動された企業」へとその姿を変えていくのは間違いない。新しいアリババは今後どんな時代を牽引していくのだろうか。