話を元に戻そう。家を購入することを大事(おおごと)と思っている人が多いように思う。長ければ35年にもわたる負債を抱えるし、終の棲家などという言葉もある。だからこそ、結婚して子どもの数などの世帯構成が決まってから決断しようと思うのも、無理はないかもしれない。
持家を資産性で考えれば
選択肢は格段に広がる
しかし、賃貸のように気軽に引っ越すことができるものと考えれば、話は違ってくる。賃貸でも住み替えのタイミングは平均4年ほどになる。持家もそれと同じにすることはできる。そうなると、結婚する前の独身時代にも家を買えるし、子供が増えたら引っ越してもいいし、子どもが家から独立したら部屋数を減らしてもいい。
それを実現するためには、持家のコストが賃貸ほどかからないことが前提になってくる。このコストが少ないことを「資産性がある」と言う。
幸い、首都圏のマンション価格は落ちにくいだけでなく、現在は値上がりし続けている。10年で70%の上昇率で、この主たる要因は金融緩和によるものだ。政府・日銀はインフレ率2%を目指して紙幣を刷って提供しているが、この余ったお金は担保の取れる不動産事業会社に流れやすいので、マンション用地の価格は上がる一方になる。
今年購入された新築マンションの用地は以前より高いが、その分譲時期は2年後になる。つまり、2年後も新築マンション価格は値上がりすることがすでに決まっているのだ。そして、現日銀総裁も「当面、金融緩和を粘り強く続ける」と話している。そうなると、2年と言わず、それ以上の期間マンション価格は上がることになる。私の予測は今後4年で20%の上昇だ。
また、マンションの資産性はほぼエリアで決まる。相場が一定の場合、都心の港区は築年で下がることはない。都区部の平均は年1.2%下落となる。現在の住宅ローン金利から元本の返済は2.7%となり、物件価格全額を住宅ローンで借りても、都区部で購入すれば平均1.5%(=2.7%-1.2%)の含み益が毎年生まれていくことになる。