新型コロナウイルス禍がかなりの落ち着きを見せ、社会は少しずつ元通りになりつつある。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった問題はいまだに解消されていない。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は日立製作所や東芝などの「産業用装置・システム/業務用機器」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
5社中3社が増収
東芝の業績は?
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の産業用装置・システム/業務用機器業界5社。対象期間は2023年2~6月期の四半期(5社の対象期間はいずれも23年4~6月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・ダイキン工業
増収率:13.1%(四半期の売上高1兆947億円)
・日立製作所
増収率:マイナス9.6%(四半期の売上収益2兆3225億円)
・東芝
増収率:マイナス4.9%(四半期の売上高7041億円)
・三菱電機
増収率:14.3%(四半期の売上高1兆2203億円)
・三菱重工業
増収率:12.9%(四半期の売上収益9840億円)
産業用装置・システム/業務用機器の主要5社の中で日立製作所と東芝が減収だった。なお三菱電機は第1四半期の売上高としては過去最高を更新、また三菱重工業は大幅な増益を記録していて好調だ。
一方、今、転機を迎えているのが9月21日にTOB(株式公開買い付け)が成立した東芝である。株主総会などを経て年内にも上場廃止となる見通しで、投資ファンドの日本産業パートナーズを中心とした国内連合の下で再建を目指すことになる。そんな東芝の業績はどうなっているのか。
次ページ以降では、各社の増収率の推移を紹介するとともに詳しく解説する。