副業コンサルタントとして、主宰の副業・起業スクールで多くの副業家を輩出・支援してきた下釜創氏は、「一生後悔しない副業の始め方、選び方、続け方」があると言う。下釜氏のはじめての書籍やりたいことは「副業」で実現しなさいでは、「あなたのなかにすでにあるスキル、眠っているスキルを活かした副業」を目指そうと説く。本連載では、話題の書の中から具体的なスキル、考え方を紹介していく。今回は、「副業はあえてレッドオーシャンを目指したほうがいい」と断言する理由についてです。

「副業はあえてレッドオーシャンを目指したほうがいい」と断言する理由Photo: Adobe Stock

副業では「差別化」を考えなくていい

 副業で勘違いしやすいポイントの一つが、「差別化」を考えること。他の人との違いを出さないと、副業として成立しないと思ってしまうのです。

 断言しましょう。副業では「差別化」を考える必要はありません。むしろ「差別化」を考えるのは、副業を成功へ導くうえでの障害になりかねないのです。

 そう言い切ると、首を傾げる人もいるでしょう。一般的に、ビジネスの世界では「差別化」が何よりも肝心とされているからです。

 ですから、会社員が副業を始めようとすると、半ば脊髄反射的に「自分が他の人の副業と差別化できるポイントはどこなのか」を必死に考えようとします。

会社の新規事業と個人の副業では、事情がまったく異なります

 それが大きな勘違いなのです。

 マーケティングの世界では、ブルーオーシャン戦略とレッドオーシャン戦略という言葉をよく使います。

 おさらいしましょう。ブルーオーシャン戦略とは、競合相手の少ない成長市場(ブルーオーシャン)を見つけて注力する戦略であり、レッドオーシャン戦略とは、競争相手が多くて乱開発された市場(レッドオーシャン)を避ける戦略を指しています。

 会社が新たに事業を起こすなら、レッドオーシャンを避けてブルーオーシャンを目指すべきでしょう。多くのコンサルティング会社も、そう助言するに違いありません。

 しかし、会社の新規事業と個人の副業では、事情がまったく異なります。

副業は、前人未到の道なき道を歩む必要はない

 副業でブルーオーシャンへ果敢に漕ぎ出たとしても、そこは新しい市場ですから、十分な需要(NEEDS)があるとは限りません。

 いかに好き(WILL)×得意(CAN)でも、そのブルーオーシャンに需要(NEEDS)がなかったら、絵に描いた餅。継続性が低く収益化も難しくなります。その先に、独立・起業といった未来予想図も思い描けないでしょう。

 副業は、前人未到の道なき道を歩むのではなく、誰かがとっくに切り開いて、ビジネスとして成り立っているマーケットで勝負すべき。その方が、成功する確率は上がります。