ジャニーズ事務所側、
取材する側双方の問題点

 会見の問題点を、二つの方向から切り取っていきたい。まず会見主催側およびジャニーズ事務所サイドからである。

 真っ先に挙げられるべきは、登壇する人の人選である。内部事情とメディア交渉に詳しいとされる白波瀬前副社長をはじめ、幾人かの重要人物が矢面に立とうとしない限り、ジャニーズ事務所の本気は見えてきにくい。

 次に記者会見の時間と記者の数、そして「1社につき質問1つだけ可」とする“1社1問”ルールについてである。今回は2時間で、質疑応答に割ける時間は約1時間半弱、そして記者は300人近く集まった。1社1問は「なるべく多くの記者から質問を受けられるようにするため」と説明されたが、集めた人数に対して時間が短すぎるので、どのような工夫をもってしても満足な質疑応答とはなり得まい。

 加えて、一見公平に見える“1社1問”は、実はこの上なく会見する側に有利なもの、という指摘が相次いでいる。「更問い」、つまり重ね聞きができないので、質問に答える側が回答を意図的に短く切り上げたり、トーンポリシング(声を上げた人に対し、発言の内容ではなく、態度や言い方に文句をつけること。また、議論の本筋ではない批判により、論点をすり替えること)を行いやすくなるのである。

 一方、記者サイドに見られる問題は、一言で言って「マナーが悪い」である。

 場を乱しているのはごく一部の記者で、残り多数のマナーよろしき記者が道連れになる形で「記者が…」と残念がられるのは残念だが、それくらいごく一部のマナーの悪い記者の影響力は強い。ここをなんとかして取り締まることができれば、会見の風紀は大幅に改善するはずである。