逃げ腰が伝わってくる
「2時間」という時間設定

 これらを踏まえた上で、将来のより良い会見はどのようにすればいいか。

 今回のジャニーズ会見のようなトピックであれば、まず会見を通してマスコミ、ひいてはその向こうにいるお茶の間の皆さんと向き合う時間をしっかり取るべきである。今後また会見を開くにしても、犯してきたことの悪質さやファン・一般人の疑問のまな差しに対して、2時間ちょっとの会見をひと月ぶりにやっただけでは短すぎる。NHKや民放4局合計の視聴率が計19.3%にまで達するほどの関心を集めていたのだから。

 たとえば三日三晩ぶっ続けでやって、東山・井ノ原両氏がボロボロになりながら質問に答える姿を見せれば視聴者もある程度納得するかもしれない。あるいは国会中継のように、皆の興味がそれなりに薄れるまで長い期間をかけてやるという手もある。

 冗談はさておき、質問が出尽くすまで、すべて受け止めるくらいの覚悟をジャニーズ事務所に期待したかったのは事実である。

 記憶に新しいキャンドル・ジュン氏の会見スタイルは、質問する記者も壇上に上げて向き合う形で行う異例の会見だったが、マスコミを含めてウケがよかった。あれはキャンドル・ジュン氏が当時糾弾される立場になかったゆえに、穏やかにやれたというのはあって、今回のジャニーズ会見のような内容だとやはり荒れやすい。だが、穏やかに会見をやれそうなポイントが少しでもあるなら、極力「キャンドル・ジュン方式」に寄せた方が、品の良い記者会見は実現するであろう。

 また、一人の荒れた記者が場に投入されると会場は一気に混沌に傾くので、今後記者会見には、記者会見をつかさどる第三者的機関から必ず「レフェリー」が派遣され、暴走する記者を取り押さえて即刻退場させるくらいの措置はあっていいかもしれない。コストの掛かる話だが、悪目立ちする少数の記者によって記者全体の品格が低下しているので、自律目的のレフェリー設置は記者にとっても悪い話ではないのではないか。

 総じてみて、事務所の再生を目指して開かれたジャニーズ会見は、NGリスト発覚などによって自滅する形でメッキがはがれて逆効果となった印象だが、被害者への補償に踏み込んだ覚悟の宣言は好ましく感じられた。

 とはいえ、さらなる体質改善が見込まれない限り、世間の目もそう簡単には変わらないであろう。ジャニーズ側の次の出方にもまだまだ注目が集まるであろうが、世間に見放される前に、もう少し信頼を回復しておかないとまずいのではないか。というのが、ここ数日世間の反応を見ていて覚えた感想である。