どこにでもいる
「苦手な人」の対処法

 ここからは、仕事や人間関係の悩みを軽くするコツをいくつか紹介していきます。

「苦手な人とうまくやろう」なんて最初から思わないことです。関わりを絶てないならば、相手のことを考えない時間をつくること。

 仕事や親戚、ご近所づきあいなどで、苦手な人と関わらなくてはいけないこともありますね。できるかぎり、苦手な人とは距離を置いて接するのがよいですが、立場上、日常的に交流があったり、距離を置くことができないということもあるでしょう。

 相手の苦手な部分、いやなことに注目してしまうと、それをなんとかしようとしがちですが、そうやって相手を変えようと働きかけると関係性は悪化してしまいます。それだけでなく、変わらない相手に執着するという現象が起こり、相手の一挙手一投足にストレスを感じることになります。

 嫌いなのに、離れられないなんて、どちらにとってもただ不幸せでしょう。そんなときは、しっかりと相手と自分の間に「心の境界線」を引くことが大切です。そして、「相手の言うことに振り回されない、相手の言いなりにならない」と決めることです。それは「相手のことも変えようとしない」と決めることでもあります。どうやっても他人は変えられないのですから、相手を変える努力よりも、できるだけ相手や相手の言ったことを「意識的に忘れる」努力が必要です。

 からだを動かしたり、本を読んでその世界に埋没したり、映画を観たりすると、最初はわずかな時間かもしれませんが、その時間は頭がそこから離れます。少し忘れられます。そんな「忘れる練習」を繰り返し行うのです。練習を重ねるうちに、他に楽しいこと、関わりたい人が見つかることもあります。

自分の心と体に
耳を傾ける

「仕事のことを考えない時間」こそ、仕事には不可欠です。せめて寝床には仕事を持ち込まないで。

 仕事の過労で心身を壊してしまう人の多くが、起きている間ずっと、仕事のことを考えています。食事中も、お風呂でもとなると、からだに与えるストレスは甚大です。あたりまえのようですが、「仕事のとき以外は仕事のことを考えない」。これを声を大にして言いたいものです。もちろん、好きでそうしているわけではなく、やるべき仕事が終わらず、夜中までかかってしまうような人は「やることがありすぎて考えないなんてできない」と言いますが、これはもうワーカホリックの一歩手前、依存予備軍だと自覚しましょう。