マイクロプラスチックの海洋流出対策として、バイオプラスチック(バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの総称)の普及が検討されている。バイオマスプラスチックはトウモロコシ、サトウキビ、大豆などの再生可能な有機資源を原料として製造され、二酸化炭素などの排出削減に貢献できるというメリットがある。

 生分解性プラスチックの場合、微生物の働きによって、最終的には水と二酸化炭素に分解され無害化するというメリットがあるが、海洋に排出されると、分解までに長期間かかるため、マイクロプラスチック問題と同様の問題になってしまう懸念がある。

プラスチック廃棄物の削減を目指す
新法の実効性は疑問

 2022年4月に、プラスチックを使用する製品を対象に、資源循環の取り組みを推進するために「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行された。この法律の下でストロー、フォークなど「特定プラスチック使用製品」12品目を年5トン以上使用する事業者に削減が義務付けられた。

 例えば、飲食店やコンビニ、スーパーなどの店頭で配られているストロー、スプーン。ホテルで提供されているヘアブラシ、歯ブラシ、かみそり。洗濯業などで使われている衣料用のハンガーなどの削減が求められることになった。

 日本経済新聞によると、王将フードサービスのように持ち帰り用のスプーンなどを有料化することで、プラスチック削減に取り組む企業が出現している。

 また、植物系素材を25%配合したスプーンに変更したり(外食チェーンのリンガーハット)、ホテルの部屋に設置する歯ブラシなどを竹や木製に変える(帝国ホテル)など、素材変更で対応したり、ファミリーマートのようにフォークなどの提供自体を廃止する企業が出現しているという。

 いっぽう、今回の施策で削減対象となるプラスチック製品の国内流通量は日本全体のプラスチック排出量の1%程度にすぎないという。このため、より実効性のある政策にするためには、対象を広げていくことが今後の課題となる。

 とくに、二次的マイクロプラスチックは、プラスチックが劣化する前の段階で、散乱を防ぎ収集することで問題を回避できる。このため、可能な限りデポジット制度の導入を検討することで問題解決の一助になると考えられる。

 不法投棄の防止などに有効なデポジット制度は、さまざまな廃棄物に対して適用可能であり、日本でも実際に、さまざまな地域で導入されている。