V2Hの新製品を発表したニチコンの武田一平会長V2Hの新製品を発表したニチコンの武田一平会長 Photo by Masataka Tsuchimoto

電気自動車(EV)にためた電気を家庭内で利用できるシステム「V2H」で国内シェア首位のニチコン。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、ニチコンの武田一平・会長CEO(最高経営責任者)のインタビューをお届けする。武田氏が、新製品での“超”野心的な販売目標や裏打ちする戦略を披露した。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

国内V2Hシェア断トツのニチコンが
第3世代の新製品でさらなる独走狙う

 ニチコンは2012年に電気自動車(EV)にためた電気を家庭内で利用できるシステム「V2H」を世界で初めて実用化した。そのニチコンが10月17日にV2Hの新製品を発表した。

 24年3月から販売する新製品はニチコンのV2Hの「第3世代」で、希望小売価格は128万円。小型軽量化や操作部と本体のセパレート(分離)化、停電時の自動放電などを新たに実装した。

 ニチコンはV2Hの累積シェア国内トップの約9割。EV市場の拡大につれてV2H市場も右肩上がりとなっており、ニチコンは新製品でさらなる飛躍を狙う。

 ニチコンはEVの急速充電器も製造・販売する。東京電力ホールディングス子会社のEV充電インフラ設置事業者e-Mobility Power(eMP)が高速道路で展開する6台同時急速充電器は、東電HD、eMPとニチコンが共同開発したもので、日本デザイン振興会の20年度グッドデザイン賞を受賞している。

 今回、EV充電に絡む市場で圧倒的な存在感を誇るニチコンの武田一平会長と中核事業の幹部がダイヤモンド編集部の単独取材に応じた。次ページでは、武田氏らがV2Hの新展開に加え、過去10年の生産量からわずか3年で2倍超に販売量を引き上げる超野心的な目標を披露。その裏付けとなる理由なども解説する。