新駅の周辺は
安定した地質

 改めて神奈川県新駅について解説しよう。同駅は品川駅から約38キロ、最初の停車駅となる。JR東海は「各駅停車タイプ」の所要時間は、品川駅まで約10分、名古屋駅まで約60分と説明している。

 橋本から東京都心までは現在、1時間20分前後を要するが、山手線東京~品川間よりも短い10分で結ばれるとなると、駅前に建つ高層マンションがさらに増加するであろうことは想像に難くない。

 品川駅~名古屋駅間約286キロを最高速度時速505キロ、40分で結ぶ速達タイプの平均速度は時速429キロ。つまり先行する各駅停車タイプが5分停車するうちに35キロも進んでしまうため、全ての駅に待避設備が設けられる。従って中間駅といえどもかなりの規模の駅となる。

 神奈川県新駅の掘削範囲は幅約50メートル、長さ約600メートル、深さ約30メートルだ。一般的な掘削工事では、横から土の圧力で崩れ落ちないよう壁を打ち込み、それを支保工と呼ばれる縦横の鋼材で支えながら掘り進める必要がある。

 だが、橋本周辺は地下約20メートルまで関東ローム層、その下は高層建築の基礎を支える砂礫(されき)層で、地下水位も低い安定した地質である。そのため浅部は安全な角度で法面を作りながら掘り下げていき、深部は土を押さえる壁を土中にアンカーで固定しながら掘削するため支保工の必要がない。

写真:砂礫層,関東ローム層画像中央で斜めに分かれている白い部分が砂礫層、緑がかった部分が関東ローム層(筆者撮影)

 前述のように工事の大部分は相原高校跡地で行われているので覆工板(ふた)をする必要もなく、支保工を設置しないので大型重機を用いることができるため、品川方約460メートルは地上からそのまま掘り下げた。なお相原高校跡地から外れる約150メートルは民地が近接するため、安全性を確保するため支保工を設置している。

 また名古屋方の国道16号線との交差部約70メートルは地上から掘り下げることができないため、横から鋼管を打ち込んでトンネルの外周を築き、最後に中央をくり抜く「URT工法」を用いる。そこからシールドマシンが発進し、相模川まで約3.6キロの「第二首都圏トンネル」を建設する。ちなみに品川方はシールドを受ける側で発進はしない。

写真:実際に使われる予定のシールドセグメント(トンネルを構成する部品)実際に使われる予定のシールドセグメント(トンネルを構成する部品)(筆者撮影)