「身を切る改革」大阪以外でウケる?田端信太郎が維新にズバッと直言

40歳で日本維新の会の幹事長に就任した藤田文武さんは、著書『40代政党COO 日本大改革に挑む』(ワニブックス)を上梓(じょうし)し、経営者時代のノウハウを党運営に持ち込んだ“企業秘密”を明らかにして政界以外でも注目されています。今回、経営・マーケティングのインフルエンサーとして活躍する田端信太郎さんとの異色の対談が実現。政界と「意外」な接点もあった田端さんのエピソードや“政界最大手”自民党に挑む政党づくりをめざす藤田さんに田端さんから忖度(そんたく)なしの直言も飛び出しつつ、「政治の常識、民間の非常識」、成長するベンチャー組織についてとことん語り合いました。(司会・構成/新田哲史、編集/ダイヤモンド社 宝金奏恵、撮影/武藤裕也)

※対談の収録は9月下旬に行いました。

「身を切る改革」大阪以外で支持される?

日本維新の会・藤田文武幹事長藤田文武(ふじた・ふみたけ)
1980年、大阪府生まれ。筑波大学体育専門学群を卒業後、大阪府立高の体育講師を経てスポーツマネジメントを学ぶために海外留学。帰国後、スポーツマネジメント関連のベンチャー企業に勤務し、のちに会社を設立。2019年4月の衆院選補選で初当選。21年11月、日本維新の会の幹事長に40歳の若さで就任。以来、会社員と経営者の経験と概念を政界に持ち込む「政党経営」の手腕が注目されている。23年9月、初の著書『40代政党COO 日本大改革に挑む』(ワニブックス)を刊行。
インフルエンサー・田端信太郎氏田端信太郎(たばた・しんたろう)
1975年石川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。NTTデータを経てリクルートへ。フリーマガジン「R25」創刊。2005年、ライブドアに入社し、livedoorニュースを統括。2010年からコンデナスト・デジタルでVOGUE、GQ JAPANなどのメディアのデジタル化・収益化を推進。2012年NHN Japan(現LINE)執行役員に就任。LINE時代は法人ビジネスを担当し、18年にZOZOのコミュニケーションデザイン室長に就任。現在はオンラインサロン「田端大学」や、「Twitterブートキャンプ」を主宰している。著書に『自分を探すな 世界を見よう 父が息子に伝えたい骨太な人生の歩き方』(マガジンハウス)、『これからの会社員の教科書』『これからのお金の教科書』(SBクリエイティブ)など多数。

藤田文武氏(以下、藤田) 田端さんといえばX(旧ツイッター)で32万もフォロワーがいて、与野党問わず、政治家にもどんどん突っ込まれていて政治好きな印象があります。

田端信太郎氏(以下、田端) 僕、政治や選挙に関して“トラウマ”があるんですよ。石川県の小松がふるさとで、皆さんご存じ、森喜朗さんのかつての地盤なんですが、実は母方の祖父が小松市議を8期だか9期だか務めて議長も経験しました。

 4年に一度の選挙の度に娘である母は「憂うつだ」とボヤくし、僕も小学生の時、公園で友達と遊んでいると、祖父の名前を連呼した選挙カーが通りかかるわけですよ。そうすると友達が「あ、田端のじいちゃんだ!」って(苦笑)。そういうのがすごい嫌で、あまり関わり合いたくなかった。

藤田 そんな身近に政治があったなんて。LINE時代は永田町でお仕事をされたことがあったのですか?

田端 LINEに在籍していた10年前、ネット選挙の解禁が決まったタイミングで、各政党にLINEアカウントを持っていただこうと自民党から共産党まで提案して回りました。当時はLINEが世に出て2年ほど。そもそもLINEを使っている国会議員の先生方も多くなくて、ある党では「僕と女性の会話は国家機密だからね」「文春砲は困るよ」と念押しされたりして(笑)。

藤田 そうだったのですか(笑)。その頃の維新はどんな感じでしたか?

田端 維新にも行ったはずなんですが、あまり記憶がなくて…。ごめんなさい!

藤田 いえいえ。僕が国会議員になる前のことですが、当時を知る先輩たちが“暗黒時代”だと振り返るように、離合集散が何度かあって、組織がまとまっていませんでした。田端さんの印象に残らなかったのも仕方ないかもしれません。

 最近の維新のことはどう見ていますか?

田端 藤田さんの本も読ませていただいたのですが、民間の経営感覚を取り入れるとか、やるべきことをやっている印象です。ただ、僕の独断と偏見かもしれませんが、良くも悪くも大阪のカラーが強いかなと。

 たとえば看板政策に掲げる「身を切る改革」。大阪はかつて“公務員天国”と言われ、市役所で裏金問題などの不正があったので公務員が嫌いな人が多いと思うんですよね。だから公務員が一番の既得権勢力みたいに思われていた背景もあって、公務員の待遇カットとか政治家が率先して議員定数を減らすと「いいぞ」と喝采されるのもわかるんです。

 ただ、国の予算全体で言ったら社会保障費の方が大きい。それこそ国際情勢が緊迫している今なら自衛隊員の待遇とかもっと良くしてほしいと思う国民も多いはず。トイレットペーパーを隊員が自費で購入なんて話もありましたよね。大阪以外の人がそこまで「身を切る改革」を求めているのかなと疑問に思うことがあります。