「人を育てる側にまわるか、自分がプレーヤーでいるか。それを見極める3つの質問をしよう」
そう語るのは、これまで3500社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「誰も言ってくれないことが書いてある」と話題の著書『とにかく仕組み化』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに、仕組み化のメリットを説いた。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「できる上司」になるためのマネジメント方法を解説する。(構成/種岡 健)
「育つこと」を信じる仕組み
人を降格させる仕組みが、私の会社にはあります。
そして、降格した人を特別にサポートすることはしません。
明確なルールのもとで降格しているので、そこに対して配慮をすると、逆に特別扱いしていることになります。
青山学院大学陸上競技部の原晋監督は、「箱根駅伝のメンバーに選ばれなかった人に対して、何かサポートをしていますか?」という質問に、
「一切サポートはしない。なぜなら基準が明確だから」
と答えていました。このスタンスと同じです。
人が育つことを信じましょう。そのための仕組みを整えるべきです。
では、ここで3つの質問をしましょう。
質問1 「比べること」から逃げていないか?
つねに人は比較し、比較されている生き物です。
その前提に立って、仕組みをつくったほうがいい。
人の上に立つ人は、人と比べるための「仕組み」を整えないといけません。
そして、頑張った人に報いるのが、本当の「平等」です。
そうすることで、頑張った人が残り続けてくれますし、評価されなかった人の意識も変わります。
誰が見ても明らかな基準で差を設けることで、
「負けたことを正しく認識し、危機感が芽生える」
という状態が生じるのです。
すると、「次こそは頑張ろう」と思えます。
それを前提にした「仕組み」をつくることで、組織は「平等」になります。
そのためには、「褒めるべきものを褒める」「褒めるべきでないものを褒めない」ということを徹底して、比べ続けることです。
質問2 「環境への言い訳」を認めていないか?
「条件が悪かったからできなかった」
「社会状況がよくないからダメだった」
と、環境のせいにしていないでしょうか。
もし、まわりの同僚が同じ環境で結果を出しているのであれば、それは言い訳になりません。
明文化されたルールの中で評価を下されると、納得して受け入れるしか選択肢がないのです。
そのために「権限」が与えられているはずです。
環境のせいにすることなく、試行錯誤する道を選ぶ。
曖昧な評価をなくし、正しく人と比べることで、人は前向きな行動がとれるようになります。
質問3 「マイナス評価」を受け入れられるか?
降格や降給というマイナス評価の仕組みがあります。
それを受け入れるようにしましょう。
成果をあげなくても給料や評価に何も影響がないのは、「別に頑張らなくてもいいんだな」という認識につながります。
責任として自分に跳ね返ってくるかどうかは大事な仕組みです。
「ずっと同じ上司部下の関係」「ずっと同じ業務」「ずっと同じクライアント」という状況では、属人化になります。
それらを適度に入れ替えることによって、その人の長期的な成長を生み出します。
さて、以上の3つの質問について、あなたは理解できたでしょうか?
これが腑に落ちる人は、人を育てる側に側にまわることができます。
そうでないなら、一生、プレーヤーとして生き続けたほうが幸せでしょう。
「危機感」の本質を理解して、うまくマネジメントに取り入れるようにしましょう。
(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)