ビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

ビジネスにおいて、戦略思考すなわち「解を作る、磨く」技術の重要性はしばしば語られるが、天才ならぬ凡人が感覚的にできるようなものではない。そこでオススメするのが暗記だ。コンサルの思考プロセスを、そっくりそのまま頭に焼き付けてしまおう。本稿は、高松智史『「暗記する」戦略思考』(かんき出版)の一部を抜粋・編集したものです。

「調べる」は答えのないゲーム
コツはミシュラン掲載の鮨屋?

「暗記する」戦略思考を体感しながら学びたいと思います。紹介するのは、ビジネスにおいてかなりの頻度で活躍する思考パスです。戦略思考の第1ステップとなる「調べる」技術を「フランスのスーパーマーケット」の例を通して磨きましょう。

Q.フランスの大手スーパーマーケットがネットスーパー事業に進出しようとしています。そのうえで、調査をしようと思い、クライアントは貴方に相談しにきました。進出を判断するのにどんな情報が欲しいか?を考えてください。

 この問題で手に入れてほしいのは、「どんな情報が欲しいか?」を調べる時の思考パスです。「調べる」というと、世の中のほとんどの人は雑用と思っています。

 しかしながら、何かを作り出す、考えるプロセスをシンプルに言えば、「インプット→考える→アウトプット」となりますから、いかにいいインプットをするかが大事になります。

 インプットの話で、いつも僕が例示するのはお鮨屋さんです。ミシュラン掲載のお鮨屋さんがあったとしましょう。そのお鮨屋さんは当然、大将の腕前は一流。だけど、それ以上にネタが超一流です。いいお鮨屋さんは必ず、大将が仕入れの技術を持ってますよね。

 どこから仕入れるか?どれを仕入れるか?の卓越した目利きの技術を持っています。その仕入れの技術にあたるのが、ビジネスや人生でいうところの「調べる」技術なのです。ですので、調べるというのは雑用なんてとんでもない。最高の付加価値を出す、答えのないゲームであり、アタマの使いどころなんです。

 皆さんは、「フランスのスーパーマーケット」の問いを見て何から考え始めましたか?

「調べる」とは、今後の何かしらの行動を変えるために行うことです。大事なのは、ほわっと「なぜ調べるか?」みたいな目的論ではなく、あっちの方向に行くのか?こっちの方向に行くのか?を見極めるために調べるべきことは何か?という思考です。

 だからこそ、何かを調べる時は、僕らは何の行動で迷っているんだっけ?と、○○VS○○を明確にする必要があります。

 では、今回の題材で、どっちに行くべきか?○○VS○○を考えてみてください。もっとわかりやすく言えば、まさに、社長が悩むオプションX or Yは何か?です。