分岐は細かいものも含めて6つあります。

1.仏スーパーはネットスーパー事業に参入すべきか?すべきでないか?

2.リアル店舗のスーパーと新しく作るネットスーパーの位置づけは?リアル店舗⇔ネットスーパーの関係は主従関係or独立関係か?

3.自分が知りうる「ネットスーパー」=ここでは日本と同じビジネス環境と考えていいのか?orフランスは独自のものと考えたほうがいいか?

4.王者の戦略か?or二番手/弱者の戦略か?

5.フランスだけで考えればいいのか?それとも、フランスを含めた欧州で考えた戦略を練るべきなのか?

6.株主からの期待値は「短期=2年」or「中長期=3~5年」なのか?

 この分岐を解決するために、何が知りたいか?を考えていきます。特に1つ目の分岐で知りたいことを説明します。

 まずは消費者行動について。

書影『「暗記する」戦略思考』(かんき出版)『「暗記する」戦略思考』(かんき出版)
高松智史 著

●フランス、特に、都市部の家庭の、朝・昼・晩ご飯の買い物はどのように行われているのか?

●そもそも、フランスでは、どのくらいのエリアにどのくらいのスーパーが存在しているのか?

●そのうえで、買い物における「不」=不満、不便、不都合は発生しているのか?

 次に、顧客について。

●ネットスーパーを近くの拠点からの配送を前提とした場合、このスーパーの利用客の年齢層はどのようになっているのか?

●ネットスーパーは最終的には全年代での利用を目論むが、ファーストユーザーはネットに強く、かつ、スーパーに行けない=独身ビジネスパーソンであるため、その層はどのくらいいるのか?

 次は商品。

●このスーパーでの売れ行きは、ネットショップに適している商品が中心なのか?それとも、不得意な商品が中心なのか?これは考え方にもよるが、生鮮食品は多いのか?少ないのか?

 あとは競合環境。

●この会社のネットスーパーの敵となりえる、他のネットスーパーや、少し異なるがアマゾン/アマゾンフレッシュの利用率はどのくらいなのか?

 最後に自社。

●ネットスーパーに欠かせないインフラ基盤=配送拠点、配送業者などは自社で賄えるのか、もしくは、日本でいう佐川急便のような連携できるパートナーは存在するのか?

 といった感じのことは知りたい。結果的には3C(Customer=市場や顧客、Competitor=競合、Company=自社)+αな項目で整理できます。他も同じように、戦略の分岐にスタンスをとるための情報を得ていきます。

 以上が、クライアントの社長への回答例です。実にセクシーですよね。皆さんも調べものをするとき、事例調査や企業研究するときにこの思考パスを思い出せばいいのです。