あくまでも低強度トレーニングなので、普段あまり使わない関節や筋肉に、心地よさを感じればOK。とにかく楽で自由なエクササイズだと思ってもらっていい。ただし、ノンストップで流れるように20分以上続ければ、心拍数が上がって中強度のワークアウトになる。筆者は、その日の気分で強度と時間を変えている。

 より「瞑想効果」を得てもらうために、4つのポイントを伝えておこう。

①なるべく全身を動かせるポーズを選ぶ
全身運動になるよう、複数のポーズを組み合わせてみよう。1つで全身に効くと感じるポーズをひたすら反復してもいい

②深い鼻呼吸を続ける
口を軽く閉じ、舌先を上の前歯の付け根くらいにそっと触れる。その状態で、鼻から「長くゆっくり息を吐いて、深く吸う」を繰り返し、決して呼吸を止めないこと

③フローとリズムを意識する
ゆっくりした動作で「流れるよう」に「リズミカル」に、止めることなく続けよう。手足や指先を動かす時、体を曲げたり伸ばす時、ポーズとポーズをつなげる時、大小全ての動作が優雅になるよう意識して

④自然を感じ、意識を内へ
外の光、鳥の声や街の喧騒を感じながら(もしくは心地いい音楽を聴きながら)新鮮な空気で体内を満たそう。酸素を体の末端まで送り込むイメージで呼吸に集中すると、体内から呼吸音が聞こえるようになり無心になっていく。頭が空っぽになれば完璧

 瞑想は──脳を「OFF」でも「ON」でもない──第3のモードとも呼ばれるニュートラルな状態に導いてくれる(※2)。

 どんなに忙しくても、一日の中で必ず「動的瞑想」の時間を確保しよう。たとえそれが、24時間のわずか1%程度の15分だとしても、間違いなく人生のパフォーマンスアップに直結するから。

 瞑想の鍵を握るのは呼吸だ。

 人の内面は呼吸に表れる。焦ったり怒っている時は浅くなり、幸せを感じたり感謝している時は自然と深くなる。逆に、呼吸法で内面をコントロールすることだって可能だ。

 忙しい日中に15分の時間が取れない時、4秒かけてお腹いっぱいに息を吸い、4秒止めて、ゆっくり8秒かけて吐き出してみよう。すっと心が落ち着いていくから不思議だ。

 ハーバード大学の根来秀行教授によると、この「4・4・8呼吸法」を4回(つまりわずか1分程度)続けるだけで、リラックスモードの副交感神経のスイッチが入るという(※3)。経験上、頭に血が昇っていても、1回だけでクールダウンできるほど劇的に効く。

 なお、本連載で紹介する全ての動的瞑想で、呼吸法の重要性を説いている。口で呼吸する哺乳類は人間だけで「非常時以外は基本、全て鼻呼吸」と覚えておこう。口で呼吸している時は、体が苦しい時か心が乱れている時なのだ。

 そして「呼吸を制する者は人生を制する」という言葉を胸に、読み進めていただければより理解が深まるだろう。

【参考文献】
※1 デイブ・アスプリー『シリコンバレー式超ライフハック』ダイヤモンド社(2020)
※2 茂木健一郎『脳を鍛える茂木式マインドフルネス』世界文化社(2017)
※3 根来秀行『ハーバード&ソルボンヌ大学根来教授の超呼吸法』KADOKAWA(2018)