超ミニマル・ライフとは、「どうでもいいことに注ぐ労力・お金・時間を最小化して、あなたの可能性を最大化する」ための合理的な人生戦略のこと。四角大輔さんの新刊『超ミニマル・ライフ』では、「Live Small, Dream Big──贅沢やムダを省いて超効率化して得る、時間・エネルギー・資金を人生の夢に投資する」ための全技法が書かれてあります。本書より、【有酸素運動と瞑想】それぞれの効能を同時に得られるおススメの方法についてご紹介します。
監修:湯本優/株式会社cart CEO、医師、医学博士
ヨガ監修&写真提供:スタジオ・ヨギー

【有酸素運動と瞑想】それぞれの効能を同時に得られる超簡単な方法

「ゆるい運動=スロートレーニング」のすすめ

「仕事や家事でヘトヘトなのに、運動はやれる気がしない」

 きっとそう言う方は多いだろう。

 だが、安心してほしい。ここから複数のメソッドを通して伝授するのは、筆者が実践していて、誰にでもできる「ゆるい運動=スロートレーニング」だ。

 無駄を削ぎ落としたシンプルな運動だが、体と脳と心に総合的に効くメニューとなっている。そして、本連載では「回数」や「距離」より「体を動かす時間」と「体への負荷」にフォーカスしていく。

人間は運動しないとダメになる

 筆者は昔から、体を動かしていないと心身が不調になりがちだった。それは「自分の体質」だと思い込んでいたが、本書を書くにあたっていくつかの文献を読み、それは「ホモ・サピエンス(現生人類)の体質」であると知る。

 内省的な性格から1人で自然の中に入ることが多く、釣りやキャンプをしながら、いつの間にか自己流でメディテーション(瞑想)的なことを行っていた。それは心身にとって非常に有益だったと、後に学ぶことになる。

 子どもの頃からスポーツやアウトドア活動に明け暮れ、好きが高じてそれが仕事になった。ヨガスタジオの全国チェーン「スタジオ・ヨギー」の社外取締役を務めたり、日本初の瞑想スタジオのプロデュースをしたこともある。

 10年近く夢中で取り組んだ野球の練習が辛すぎたこともあり、大人になってからは激しい運動が大の苦手になった。

 ゆっくりなら何時間でも歩けるが、激しい筋トレやハードなランニングは続いたためしがなく、瞑想を兼ねた「ゆるい運動」が習慣となった。

瞑想と運動の融合

 瞑想はマインドフルネスと名を変え──シリコンバレーやウォール・ストリートのエリートが生産性向上のために始めたことで有名となり、今や世界中のエグゼクティブやアスリートが実践する──パフォーマンスを高める科学的な解決策として市民権を得ている。

 米イェール大学医学部の精神神経学科で先端脳科学を研究し、日米で25年の臨床経験を持つ久賀谷亮氏いわく、瞑想はもはや“東洋の神秘”ではなく、「脳によい変化をもたらすことが実証的に確認されている」という。

 筆者が行っているスロートレーニングは、有酸素運動と瞑想それぞれの効能を同時に得られる「動的メディテーション」だ。

 開始後すぐに呼吸は深くなって脳と体の血流が改善する。手足の先がポカポカして「副交感神経優位(くつろぎモード)」になり、脳波が理想的な状態で安定──ここまでわずか数分。

 言うなればこれは「安静と覚醒の間」にいるような状態──心は平静なのに生体機能は高まっている「ほどよい集中モード」のこと。絶妙なバランスで──トップアスリートがよく言うゾーンに入った状態に近く──これ以上に覚醒すると心は乱れ、これより安静に寄ると眠気を感じて注意力が急降下する。

 坐禅のように動かずに行う、通常の「静的メディテーション」でこの状態を得るのは簡単じゃない。

 ある程度の修行を重ねるか、そうでない場合はいい先生のガイドを受けない限りなかなか難しい。しかも、この状態は──繊細ゆえかなり深く入らないと──ネガティブな考えがよぎったり、不快な匂いや騒音によっても瞬時に失われてしまう。

 僧侶が行う厳しい修行によって、そういった内的・外的な要因に左右されず持続が可能となるというが、1万時間以上の瞑想経験(毎日1時間で25年以上)が必要とされ、ハードルが高い。

「動的メディテーション」では、そういった修行をせず短時間で「内外の要因に左右されないリラックスと集中の共存」という、脳が最も喜ぶとされる状態に持っていくことができる。

 習慣化すれば、瞬時にストレスを解消してポジティブ思考にシフトできるようになり、運動後もメンタルをいい状態で維持しやすくなる。

 本連載では複数の「動的瞑想スロートレーニング」を紹介していくが、ヨガが最も瞑想効果が高い。そもそもヨガとは、古代の僧侶たちが瞑想に入りやすい手法を追求する中で生まれたと言われているほどだ。