先のFPの澤木さんも、こうした働き方を薦める本(『定年後のお金「見える化」入門』)をこのほど上梓した。
「私はこうした『チョイ働き』で週3日くらい1日6時間程度働くことを推奨しています。お金はもちろん健康にもよく、夫が家にいないことで夫婦仲も悪くならないからです。ホワイトカラーの中には現場仕事を嫌がる人もいますが、工場での部品の検品や競技場の清掃、保育園の駐車場の案内などをしている元大企業の部長さんもいらっしゃいますよ」
また、老後資金に詳しいFPの長尾義弘さんもこう言う。
「これからは『長く働く』が老後の基本になります。そのためには個人はどうキャリアを形成していけばいいか、それこそが重要なロールモデルになっていくでしょう」
『ほんとうの定年後』は、1年で10万部のヒットとなっている。いずれにせよ、「定年後も働けば、老後のお金はそれほど深刻な事態にはならない」とする見方が広まりつつある。
ただし、これは、あくまで日本中の平均を元にした世界の話であることも忘れてはならない。やりたいことがあり、老後にさまざまなライフプランを実現したいと思うのなら、さらなる資金準備が必要になる。実は冒頭の日本FP協会の「老後破綻」を示すグラフには、このことを気づかせる効果がある。(編集部・首藤由之)
※AERA 2023年10月30日号より抜粋
※AERA dot.より転載