検査の信頼性を検証するWGは
「第三者」ではないのでは?

 またNPは「検査の信頼性を第三者が検証する取り組み」と持ち上げているが、PET検診WGは、無意味であることを承知の上で検証し、「感度13%」という不当に低い数字を公表した事件の当事者であり、第三者にはあたらない。それにNPは、「放射線科医とPET検診WG共同で」とまるで2つのグループがあるように説明しているが、PET検診WGは9人の放射性科医からなるグループだ。あえて「共同」と報じる意図はなんなのだろう。

 いずれにしても、PET検診の感度は、一般の我々が期待している数字よりはるかに低い。自分はがんかもしれないと疑いを抱いた際、日本人の多くは今のところPET検診を受けに行っている可能性が高いが、要検討だ。当のPET検診WGのガイドラインにもある通り、他の検査を併用する「総合がん検診」を受けることをお勧めする。

 それにしてもなぜ、PET検診WGは、このような意味不明な検証を行なうのだろうか。

 ヒントは、前出の田代医師が発した次のコメントにあるかもしれない。

「私が勤めるクリニックには線虫がん検査で高リスクと判定された方が大勢来る。その意味では線虫がん検査はPET検査の受検者増に貢献しているかもしれないが、PETの結果、がんが見つからないと、見落としではないかと責められることが多く、そういう方々はPETを二度と受けてくれない」

 田代医師のクリニックはPET単独検診しかやっていないだけでなく、感度の低さについての詳細な説明は今回の記事が出るまでやってこなかった。田代医師はPETでがんの有無を調べることに意味がないことを知っている。だから、PETの結果、がんが見つからなかった人たちから「本当に大丈夫なのか」と念押しされても、大丈夫とは絶対に言えない。責任問題に発展する恐れもある。ゆえに線虫検査がきっかけの受検者には来てほしくない。そんな想像をしてしまうのだが、どうだろう。

 だが、実は、今回取材を進める中で筆者は2017年に米国の食品医薬品局(FDA)が発表した、衝撃の文書を発見した。

Full-Body CT Scans - What You Need to Know(全身CTスキャン-知っておくべきこと)
Full-Body CT Scans - What You Need to Know | FDA