ところがだ。「感度13%」の根拠となる検証を担当した福岡和白PET画像診断クリニックは“PET(PET-CT)単独検診”クリニックで、他の検査を併用する「総合がん検診」は実施していない。検証にあたった田代城主医師もクリニックのHPで「少なくとも何かしらの症状、違和感など気になることがある方はN-NOSE検査の低リスクや中リスクという場合でも決して安心せず、まずはかかりつけ医や症状に該当する診療科の医師へ相談・受診されることを強くお勧めします(PET-CT受診では無く)」と太字で言及している。がんを早期発見したいならPET-CT以外を受診すべしと言っているのである。
線虫検査は胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮がん、すい臓がん、肝臓がん、前立腺がん、食道がん、卵巣がん、胆管がん、胆のうがん、膀胱がん、腎臓がん、口腔・咽頭がんの15種類に反応するとしている。一方PETは胃がん、食道がん、早期の子宮頸がん、前立腺がん、膀胱がん、腎臓がん、胆道がん(胆管がん、胆のうがん)は見つけられない。つまり、線虫検査が高リスクとした受検者の尿をPETで調べた場合(特に早期であるほど)、15種類中半分ものがんを見落としてしまう。
PET検診には、線虫検査の感度を検証する能力がないことは明白だ。それなのにPET検診WGはPET単独検診のクリニックで無意味な検証を行い、その結果をもとに感度13%と算定したのである。これは適正な検証と言えるだろうか。まったくもって不可解だ。
H社がPET検診WGに指摘する
数多くの間違いとは
逆に、PETの感度については、2009年に国立がん研究センターが「感度17.83%」という検証結果を公表している。
PETがん検診の精度評価に関する研究 (ncc.go.jp)
線虫がん検査を提供しているHIROTSUバイオサイエンス(以下H社)は、NPの記事に対して同社のホームページで30ページを超える反論を展開しているのだが、なかでも「感度13%」の件については、「検証結果にはPETの感度17.83%が反映されていない」と指摘。仮にPETの感度を(CTと同時に実施するPET-CTを想定して)50%と高めに見積もって計算したとしても、線虫検査の感度は90%以上だと主張している。
H社はほかにも、NPやPET検診WGの主張について、数多くの間違いを指摘しているのだが、PET検診WGはそれには答えないまま、10月11日、今度は「日本がん検診・診断学会の会員でPET検診に関わる放射線科医と日本核医学会PET核医学分科会ワーキンググループが、共同で全国調査を開始した」と発表した。