PET検診WGの検証が誤りでも
線虫検査への疑念は晴れない
とはいえ、NPの記事を支持し、線虫検査が公表する感度に疑念を抱いていた人たちの多くは、PET検診WGの検証が非科学的であったことが証明されても、線虫検査への疑念は晴れない。同グループが実施しているアンケート調査の結果は信頼性が低いとしても参考にはなる、と主張するだろう。
実は筆者は最近、公的ながん専門病院が、(線虫検査の性能を)H社と共同で1500人以上の様々ながん種の患者の尿検体を用いる大規模臨床研究を行った結果、20種類以上のがんについて、病理学的に早期ステージの段階でも60~90%の高い感度を示したとする情報を得た(当該病院の協力を得て、現在H社が論文を投稿中)。早ければ来年年明けにも公開されるという。
この検証は、がん専門病院で臨床研究の倫理審査の承認を受け、患者から同意を得た後に採尿した検体をH社に送り、H社は線虫を用いて走性実験を行い、機械によるカウントを実施した判定結果を病院に戻し、集計・解析は病院とH社が共同で行った。
線虫検査の検証を再度行うことが報道された際、母体である日本核医学会は「10/12の”線虫”に関わる報道の誤りに関するアナウンス」と題する声明を発表し、「PET核医学分科会は日本核医学会の分科会ではありますが、財務などを含め別組織です。」と、検証には一切かかわりがないことを強調した。
10/12の”線虫”に関わる報道の誤りに関するアナウンス – 日本核医学会公式サイト – 日本核医学会公式サイトへようこそ (jsnm.org)
PET検診WGが行うべきは、線虫検査の感度を検証することではない。まずは自分たちのやっていることを、第三者も入れて厳しく検証するべきではないだろうか。その上で、たとえばH社と共同で線虫検査の検証をしてみたいというのであれば、筆者は喜んで応援したい。
(取材・文/医療ジャーナリスト 木原洋美)