改正反スパイ法の施行で
高まるチャイナリスク
反スパイ法は7月の改正により、国家の安全と利益に関わる情報を窃取する行為がスパイ行為の定義に加わるなど対象範囲が拡大され、ジャーナリストや学者、研究者も危険にさらされる。
米企業では、過去に情報機関などで勤務経験がある現地駐在員らが離任する動きが見られ、一連の拘束事件を目の当たりにした日本企業にも動揺が走っている。
日本企業では、中国の公務員や政府関係者などとの面談には中国側の関係者に立ち合いを求めたり、極力オンラインで面談したりするなどの対策を取っているようだ。
しかし、何をもって国家機密といわれるか具体的に示されていない現状を考えれば、中国に言いがかりをつけられれば、いずれも無駄な対策となってしまう。
さらに、改正反スパイ法がデジタル領域にも言及したことから、公共施設の撮影や中国の歴史・触れられてはいけない問題(香港やウイグル関連、臓器移植、台湾有事など)に関するインターネット検索やデータ保存を控えるなど、企業として疑心暗鬼にならざるを得ない。
現に、企業担当者と話をしても、どこまでリスクを想定して事業を検討すればよいのかバランスがとりづらいとの声が多く聞かれる。
今年に入ってからは、米コンサルティング企業のベイン・アンド・カンパニーやキャップビジョンなどが中国の捜査当局の家宅捜索を受ける事件が起きており、企業の摘発も拡大傾向にある。
反スパイ法をはじめとして、チャイナリスクは深刻化するばかりだ。
改正反スパイ法だけではない
懸念すべき中国の法律
今後、中国は改正反スパイ法を活用し、日本人の不当な拘束を続けていくだろうし、さらに企業に対する同法の適用も拡大するだろう。
しかし、懸念すべきは反スパイ法だけではない。
米国家防諜安全保障センター(NCSC)は、中国におけるビジネスリスクについて、以下示している。