「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」どれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、山口氏による話題の最新刊「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の中から、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。

ChatGPTを使いこなすのに最も必要な能力とは?Photo: AdobeStock

ChatGPTは「言語化力」の敵? 味方?

人間のように自然な会話ができる高度な対話型AI、ChatGPTが話題になっています。
さらに、マイクロソフト社の「Bing」、Googleの「Bard」なども登場し、対話型AIの競争はますます激化しています。将来「言葉を扱う職業」もAIに取って代わられるのではないかとも言われています。

しかし、私はそうは思いません。
AIの作った文章に負けてしまうのか、あるいは、AIを軽やかに使いこなしながら、人間にしか作れない文章を生み出していくのか。どちらの現実に向かうかは、まさに「使う人次第」です。

そして対話型AIを使いこなせるかどうかも、実は「言語化力」にかかっているのです。

ChatGPTの回答を鵜呑みにするのはNG

「ChatGPTに文章作成を頼ると言語化力は下がってしまうのではないか」と思う方もいるかもしれません。
 たしかに、ChatGPTはプロンプト(ChatGPTに打ち込む指示文)を入力すると、長文の回答を差し出してくれるので、自分で文章を考える必要がありません。回答を鵜呑みにすれば(完全に依存すれば)、自分の頭で何も考えなくなるため、当然、言語化力は下がっていくでしょう。

頭を使わなければ使いこなせない

しかし、ChatGPTは万能ではありません。最適な回答を得るには、得たいゴールを明確にしたうえで、指示や質問を工夫する必要があります。
また、ChatGPTが差し出す回答を適切に読み解きながら「足りない情報」や「不要な情報」を見極め、さらに言葉(=プロンプト)を使ってやり取りを続けていく必要があります。
そう、言語化力を使わなければChatGPTを使いこなすことはできないのです。そして、主体性を持ってChatGPTというアシスタントとの対話を重ねていけるのであれば、あなたの「言語化力」は相乗効果で高まっていくでしょう。本書には、ChatGPTを利用した言語化トレーニングも多数掲載しています。

*本記事は、山口拓朗著「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」から、抜粋・編集してまとめたものです。