今回のテーマは、「副業を阻む4つの壁の乗り越え方」についてです。
副業コンサルタントとして、主宰の副業・起業スクールで多くの副業家を輩出・支援してきた下釜創氏は、「一生後悔しない副業の始め方、選び方、続け方」があると言います。下釜氏のはじめての書籍『やりたいことは「副業」で実現しなさい』では、「あなたのなかにすでにあるスキル、眠っているスキルを活かした副業」を目指そうと説いています。本連載では、話題の書の中から具体的なスキル、考え方を紹介していきます。
副業を阻む4つの壁
副業を阻む4つの壁も乗り越えましょう
副業を始める際、メンタルブロック以外にも、乗り越えるべき心の壁があります。
それは次の4つの壁です。
❷家族の壁
❸マネーの壁
❹情報発信の壁
それぞれの壁の実態を知り、乗り越え方を知っておきましょう。
❶会社の壁
会社員の場合、初めに立ちはだかるのが、「会社の壁」です。
会社の壁には、おもに次のようなものがあります。
⃝会社が副業を禁止している
⃝親しい同僚に相談したら「副業なんてやめておけ」と忠告された
⃝会社の仕事が忙しすぎるので、副業に割く時間がない
会社が副業を禁止している場合、隠れてコソコソやるのは妙手ではありません。社会人として最低限のルールはきちんと守りましょう。副業禁止の会社では、お金をとらない趣味・ボランティアから始めてください。そこから得られることはたくさんあり、将来に向けた前向きな投資期間となるでしょう。
同僚から副業に関してネガティブなことを言われる場合もあるでしょう。
あなたを親身に心配してそうした助言をしてくれるのかもしれませんが、その同僚は副業に関してどれだけ詳しいのでしょうか。
会社員には投資=危険という固定観念が抜けない人がいまだにいるように、副業=危険という根拠に乏しい情報を発信している人もいます。
同僚の意見をいったん黙って聞くのはいいと思いますが、根拠のない主張に流されてしまうのは間違いです。
仕事が忙しくて、副業に回せる時間がないという心配も無用。実際に副業を始めた会社員は必ず、「それは杞憂だった」と証言しています。すでに触れたように、副業を始めるとタイムマネジメントが上手になるからです。
これはトレーニングと似ています。
「時間がないから、運動なんてできない」という言い訳をよく耳にしますが、忙しいエグゼクティブほどベストコンディションで仕事に全力投球するためにトレーニングを欠かさないもの。彼らはタイムマネジメントの達人なので、運動する時間を捻出するのもお手のものなのです。
たとえば、アップルのCEOティム・クックさんは、毎朝3時45分に目覚め、1時間のトレーニングを欠かさないそうです。「時間がなくて運動ができない」という人は、アップルのCEOよりも果たして忙しいのでしょうか。
❷家族の壁
副業をやりたい方の中には、家庭を持っている人もいるでしょう。
そこで立ちはだかる高いハードルが、「家族の壁」です。副業を成功させるには、配偶者など家族のサポートが欠かせません。家族がいちばん身近な応援団になってくれたら、副業の成功率は上がります。
逆に、家族が反対していると、副業を続けるのが難しくなるケースもあるでしょう。「副業をしている時間があるのなら、もっと家事と子育てを手伝って!」と言われたら、返事に窮します。
家族の応援がなくても副業は何とかうまくいったが、家庭を犠牲にして家事も子育てもほったらかしにした結果、夫婦関係が険悪になってしまい、離婚の危機を迎えた……。そんなシナリオは、絶対に避けたいところです。
以前の連載でご紹介した「人生の円」を思い出してください。
人生は、仕事(本業)や副業だけで回っているわけではありません。プライベート(私生活)という要素もあり、家族や夫婦関係はその軸となります。
副業を始めたことが契機となり、仕事も私生活も円滑かつハッピーに回るようにしたいもの。副業で「人生の円」のバランスが崩れてしまうのは、スキルエンサー副業の本意ではないのです。(以前の連載でご紹介しましたが、スキルエンサー副業とは、あなたのなかにすでにあるスキル、眠っているスキルを活かした副業。誰にでも始められる副業のことです)
配偶者など家族とのパートナーシップ次第ですが、基本的に副業に取り組むことは最初からオープンに話しておくべきでしょう。(関係性次第では、「失敗したら恥ずかしいから、ある程度軌道に乗ってから話そう」というスタンスもありです)
いずれにしても大事なのは、手段から伝えるのではなく、目的から伝えること。これは家族の壁を超えるうえで見逃せないコミュニケーションのコツです。
副業を応援してもらうには、副業はあくまで手段であり、副業で叶えたい目的があることを理解してもらってください。
本人的には自己実現が叶えられて自己肯定感も高まり、人生を豊かにするというのが副業の大きな目的ですが、副業というテーマを家族と共有する際には、もっと現実的にお金の話に絡めた方が理解してもらいやすいでしょう。
たとえば、次のようなものです。
⃝副業で得た副収入で、家族との外食や旅行の機会をもっと増やし思い出をつくりたい
⃝副業で得た副収入で、子どもの教育費を増やし、将来の海外留学に備えて貯金をしたい
⃝副業で得た副収入で、もっと広くて環境のいい場所に引っ越したい
⃝副業がうまくいき、独立・起業して会社員時代の数倍の年収を稼げるようになりたい
このように目的とセットで副業を語れば、家族の理解は得やすくなるでしょう。
家族のサポートがあって成り立っているのですから、副業で得た収入を本人が独り占めするのはNGです。
有言実行を心がけて、配偶者や子どもたちとちょっぴり豪華な外食を楽しんだり、休日に家族旅行に出かけたり、ちょっとしたプレゼントをしたりするなどして、目に見える形で還元しましょう。それは理解と応援を得るために有益だと思っています。
❸マネーの壁
商品・サービスを売り、その対価を得る。それは会社員の本業でも、副業でも変わりません。
とはいえ、多くの会社員は、BtoBでもBtoCでも、エンドユーザー(一般消費者)と直にお金のやり取りをしているわけではありません。
コンビニやファストフードやアパレルのように、BtoCでエンドユーザーを対象にしている企業で働いているとしても、それぞれの店頭に立たない限り、エンドユーザーとのお金のやり取りは生じないのです。
ところが、副業ではエンドユーザーと直接お金のやり取りをします。それは、スキルがお金に転換することで自己肯定感が高まるというプラスの作用がある半面、「マネーの壁」になり得ることが考えられるのです。
このマネーの壁というメンタルブロックを乗り越えるには、初めから課金をしないで、無料のお試しから始めるという手法が有効です。無料で試した人たちから、「またぜひ試してみたい」「有料でも利用したい」という肯定的な声が寄せられるようになってから、課金をしていくのです。
そうすれば、マネーの壁は問題なく乗り越えられるでしょう。
❹情報発信の壁
最後は「情報発信の壁」です。
SNSを個人的にしか使ってこなかった人にとっては、ビジネスでどのように情報発信するかは白紙に近い状態であり、情報発信の壁を感じやすいのです。 副業はすでにつながっている友人・知人を対象としてスタートさせるのがお薦めです。そこから友人・知人の友人・知人へ、最終的にはまったく知らない人たちという具合に少しずつ輪を広げていくのです。
まったく知らない人たちへ広く情報発信を行う必要に迫られるのは、副業の道行が定まって軌道に乗ってから。
それまでに、類似の副業で成功している先輩たちの情報発信を参考にしてコツを掴んでおけばいいのです。肩肘張らず、肩の力を抜きましょう。
(本記事は、『やりたいことは「副業」で実現しなさい』より、一部を抜粋・編集したものです)