節税効果ばかりに目がいき、「誰に贈与するか」の検討がおろそかになると、のちのち後悔するおそれがあります。駆け込み贈与を行う場合は、「いくら贈与するか」より先に、「誰に贈与するか」から考えましょう。
「孫」や「子どもの配偶者」に贈与するメリット
多くの人が贈与先の候補として考えるのは、「子ども」「孫」「子どもの配偶者」です。
「3年ルール」「7年ルール」の対象になるのは、原則として、「相続人に対する贈与」、つまり上記の候補でいえば「子どもへの贈与」であり、孫や子どもの配偶者は対象外となりますから、ルールの縛りのない孫や子どもの配偶者への贈与はメリットが大きいといえます。ただ同時に、いざ贈与するとなると、さまざまな心配事も浮かんでくるはずです。
「まだ若い孫に大きな贈与をしたとして、孫の金銭感覚が狂わないか」
「子どもの配偶者に贈与したとして、仮に子どもが離婚したら一銭も戻ってこないのはリスクが高くないか」
どちらも、自然な感情です。一方で、子どもへの贈与は「3年ルール」「7年ルール」の対象にはなりますが、贈与した側として納得感を得られる可能性は高いといえます。そのため、「子どもにしか贈与しない」と決めている人も一定数います。
節税効果ばかりを考えると、身近なリスクを見失いがちになります。最も納得のいく贈与先は誰なのか。贈与する金額よりも先に「誰に贈与するか」から固めていくのが、いい贈与をするためにはおすすめの考え方です。
(本原稿は橘慶太著『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】』から一部抜粋・追加加筆したものです)