「マシュマロ実験って知っていますか?」
そう語るのは、SNSの総フォロワー数は300万人を超え、YouTube動画の月間再生数は3億回を超えるなど、日本中で大ブレイクを巻き起こした、ひろゆき氏。「シンプルな考え方を知れてラクになった」「目からウロコが落ちまくった」と話題を巻き起こした彼の著書『1%の努力』『99%はバイアス』では、「どうすれば影響力を持てるのか?」「口のうまい人がトクする世の中で、どう生きるべきか?」などをマジメに語っている。
そんな彼に、この記事では、「ビジネスパーソン必須の教養」についてさらに詳しく聞いてみた。(構成/種岡 健)
この実験、知ってる?
僕の好きな実験に、「マシュマロ実験」というものがあります。
ビジネスパーソにとっては必須教養だと思うのですが、ちゃんと知っているでしょうか?
知らない人のために、簡単に解説してみましょう。
「我慢強さ」は偉いこと?
この実験では、まず、子どもにマシュマロを与えます。
ただし、目の前にマシュマロを置き、このように告げます。
「食べてもいいけど、20分待ったら、もう一つマシュマロをあげるね」
そう言われた子どもは、2つに分かれます。
我慢できずに食べてしまう子と、我慢してもう一つもらう子です。
1970年頃におこなわれた結果では、「我慢できた子は、その後の人生で社会的に成功する確率が上がる」というものでした。
それにより、「我慢は偉い」ということが広まったのです。
しかし、この実験の結末は、その後にひっくり返ることになります。
我慢より「本当に大事なこと」は?
2018年に、別の実験チームによって、マシュマロ実験は追試がおこなわれました。
すると、驚くべき結果が出たのです。
それは、子どもの我慢する力ではなく、「両親の育て方」が影響していたのです。
どういうことでしょうか。
マシュマロを我慢できない子どもが現れてしまう背景に、その理由がありました。
というのも、マシュマロを食べるかどうかは、別に忍耐力があるかどうかではないからです。
「20分我慢すれば、本当に大人がマシュマロをもう一つくれる」
ということへの信頼があるかどうかが大事だったのです。
つまり、「大人が約束を守る」ということを信じられるのであれば、その子は待つのです。
反対に、「大人は嘘つきだ」と思ってしまっている子であれば、目の前のマシュマロを早く食べたほうがトクだと判断します。
「不信感」を生まないために
じゃあ、なぜマシュマロを食べた子どもは、「大人は嘘つきだ」と思ってしまっているのでしょうか。
それが、「親の育て方」です。
子どもを教育するときに、「ちゃんといい子にしていれば遊園地に連れて行ってあげるからね」と言ったとしましょう。
しかし、結局、その親は仕事が忙しくて遊園地に連れて行きませんでした。そんなことが続いてしますと、子どもは大人を信用しなくなります。
その結果、「大人は嘘つきだ」という思い込みをしてしまい、「マシュマロをもう一つくれないかもしれない」という不信感を生み出したのです。
ここで大事なのは、子どもの素質ではなく、親の「環境づくり」です。
「未来にはきっといいことがある」ということを信じるかどうかは、親の行動で決まるのです。
我慢した子どもがちゃんとトクできるように育てることが大事なのであって、「我慢できない子だ」などと諦めてしまうことは親失格なんですよね。
ということで、あなたがもしいい大人であれば、「マシュマロ実験」から得られる教訓くらいは知っておきましょう。
(本稿は、『1%の努力』の著者・ひろゆき氏へのインタビューをもとに構成したものです。)
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。自身のYouTubeチャンネルの登録者数は160万人を突破。生配信の「切り抜き動画」が話題になり、ひと月の総再生回数は3億回を超えた。主な著書に、シリーズ50万部を突破した『1%の努力』『99%はバイアス』(ダイヤモンド社)がある。