ここ数年、熱狂的なサウナブームが続き、若者や中高年女性など、幅広い世代にまですそ野が広がっています。しかし、サウナ愛好家の間でも、「結局、どうやって入るのが正解なのかわからない」「『ととのう』ってどんな状態なんだろう」と疑問を持っている人も少なくありません。
そこで今回は、最新データに基づいて科学的に正しい入り方を解説し、「ととのうための必携書」「めちゃくちゃわかりやすい」と話題を呼んでいる新刊『究極にととのう サウナ大全』の著者・加藤容崇先生(日本サウナ学会代表理事・慶應義塾大学医学部特任助教)にご登壇いただいた、本書刊行記念セミナー(ダイヤモンド社「The Salon」主催)で寄せられた質問への、加藤氏の回答を公開します。(構成/根本隼)
Q. サウナのマンネリ化を防ぐには?
読者からの質問① サウナに入るのが習慣になったせいか、ビギナーだったころと比べて「ととのう」感覚をなかなか得られなくなってきました。サウナへの慣れが、ととのいやすさに影響を与えるのでしょうか?
加藤容崇(以下、加藤) 影響は非常に大きいと思います。というのも、自律神経は環境に適応する能力が高いので、サウナに慣れてくると、交感神経が活性化しづらくなるからです。
つまり、サウナに入っても、体が「つらい」と感じなくなるので、ととのいにくくなるということですね。
そんな上級者へのアドバイスが2つあります。
1つめが、「サウナ」の前に水風呂に入る方法です。これは、「水通し」と呼ばれています。
2つめは、より根本的な解決策ですが、サウナに3週間入らないことです。サウナに慣れすぎていることがととのわない原因なので、暑熱順化がリセットされる「3週間」を目安に、サウナを断ってみましょう。
サウナを我慢している間は、まるできつい修行のように感じると思いますが、3週間空けてからサウナに入ると、びっくりするほど気持ちいいはずですよ。
失神しかねない“やばい行動”
読者からの質問② 湖に浮かべた台船上にサウナがある「フローティングサウナ」の施設で、水風呂代わりに湖へダイブするのに友人がハマっています。危険な気がするのですが、止めるべきでしょうか?
加藤 「潜水反射」といって、顔面に一気に冷水を浴びると、自律神経反射が起こって失神する可能性があります。
そういうリスクがあることを理解したうえで、救護できる態勢を整えるなど安全対策を万全にした上で、それでもやるというのなら敢えて止める必要はないと思います。
でも、安全対策がおろそかな状態でダイブしているのであれば、リスクをきちんと伝えて止めてください。
そもそも、「サウナ直後のダイブ」をやりたくなる人が出てくるのは容易に想像できるわけですから、施設の運営側が安全対策を講じるべきだと思います。「安全対策をしていない=サウナリテラシーが低い」といえますので、そのような施設には行かないというのが、一番大事かもしれないですね。
(本稿は、ダイヤモンド社「The Salon」主催『究極にととのう サウナ大全』刊行記念セミナーで寄せられた質問への、著者・加藤容崇氏の回答です)