ここ数年、熱狂的なサウナブームが続き、若者や中高年女性など、幅広い世代にまですそ野が広がっています。しかし、サウナ愛好家の間でも、「結局、どうやって入るのが正解なのかわからない」「『ととのう』ってどんな状態なんだろう」と疑問を持っている人も少なくありません。
そこで今回は、最新データに基づいて科学的に正しい入り方を解説し、「ととのうための必携書」「めちゃくちゃわかりやすい」と話題の『究極にととのう サウナ大全』の著者・加藤容崇先生(日本サウナ学会代表理事・慶應義塾大学医学部特任助教)にご登壇いただいた、本書刊行記念セミナー(ダイヤモンド社「The Salon」主催)の模様を、全2回のダイジェストでお届けします。(構成/根本隼)
サウナに入る前に「必ずやるべきこと」
加藤容崇 まず、サウナの入り方としては、「①サウナ⇒②水風呂⇒③外気浴」というサイクルを3セットほど繰り返すのが基本形です。外気浴が難しい施設なら、座って休憩するだけでも大丈夫です。
ただ、このサイクルを常に厳守する必要はありません。この基本形を頭に入れつつ、慣れてきたら、体調やサウナ施設の環境に合わせて、自分が「気持ちいい」と感じられるように柔軟に調整するといいと思います。
「① サウナ」の段階で大切なのは、「入る前に必ず水を飲む」ことです。脱水状態になると非常に危険なので、サウナに入る30~60分前にきちんと水分補給をして、体に水分が行き渡っている状態で入ってください。
ちなみに、汗の量は、体が温まっているかどうかの判断基準にはなりません。というのも、サウナにいるときの皮膚表面の水分のうち30~50%は、サウナ室内の温度と体温の差による「結露」、つまり空気中の水が肌にくっついているだけだからです。
「汗だくだな」と思ってサウナを出ても、実は体が十分温まっていないというケースが多いので気をつけましょう。
絶対に選んではいけないサウナ・ワースト1
逆に、サウナを出るかどうかの基準として役立つのは「体感」です。「熱かったら出る」。非常にシンプルですが、これが一番効果的な入り方です。
目に見える数値として指標になるのは「脈拍」です。サウナを出るベストタイミングは、軽い運動(※)をしたときの脈拍数=心拍数になったときです。ジョギングなどの軽い運動をしてみて、そのときの心拍数を目安にしてみましょう。
なお、サウナに入っていて、体感は熱くないのに「心拍数がいつもより高いな」「心臓が妙にドキドキするな」と思ったら要注意です。CO2中毒の可能性があるからです。
CO2濃度を測るセンサーを使って、「サウナ室内の混雑」を把握する開発に取り組んだところ、夜の7時や10時といった最も混む時間帯は、1㎥に含まれる二酸化炭素の割合を示す数値が2000ppm程度、最大6000ppm程度まで上がることがあることがわかりました。
厚生労働省が室内の目安として推奨しているのは1000ppmなので、これは極めて危ない数値です。換気が悪く混雑しているサウナ施設は、CO2中毒になる危険性があるので、絶対に利用しないようにしましょう。