世界のスマートフォン市場にようやく明るい兆しが見えてきた。米国の制裁措置によって競争から締め出されていた華為技術(ファーウェイ)をはじめ、中国の携帯電話メーカーが再び参入しつつあるのだ。
このことは、北米に次いで中国での売上高が大きいアップルに厄介な見通しをもたらす。ファーウェイの競合企業で20日に7-9月期(第3四半期)決算を発表した小米(シャオミ)もまた、アップルの主要な収益源である「プレミアムセグメント」で新たな攻勢をかけている。
米調査会社IDCによると、世界のスマホ出荷台数は2022年に11%減少した後、過去10年間で最低水準にある。23年も減少する可能性があるが、ここ数カ月で状況は好転し始めている。IDCによると、第3四半期のスマホ出荷台数は前年同期比0.1%減にとどまった。コロナ流行下の電子機器ブームが2022年に終わって以来、業界を悩ませてきたサプライチェーン(供給網)の滞留がようやく緩和されつつあるのかもしれない。
世界市場全体よりも不振だった中国でのスマホ出荷台数も回復しつつある。調査会社カウンターポイント・リサーチによると、10月第1~4週の販売台数は前年同期比11%増だった。主役はファーウェイで、同社の販売台数は前年同期比で90%以上も急増した。
ファーウェイの販売台数は、米国が2019年に先進半導体への同社のアクセスを制限する制裁を科した後に急減した。しかし、同社はこうした障害を跳ねのけたようで、今年8月には5G対応スマホ「Mate 60 Pro」を予告なしに発売した。シャオミもこのところ好調で、10月の同じ4週間の販売台数は前年同期比で33%も伸びている。一方、アップルの販売台数は1桁パーセントの減少だった(カウンターポイント調べ)。