上位20社のうち業界別では
「メーカー・商社」が最多

 20代の現職社員が「成長環境がある」と評価した企業のスコア上昇幅を集計したランキングでは、19年から23年の約5年間で最もスコアを上げたのは、外資系コンサルティング大手のEYストラテジー・アンド・コンサルティングだった。2位に中古住宅のリフォーム・販売を手掛けるカチタス、3位に電通という結果となった。

 業界別では上位20社のうち、「メーカー・商社」が最多の7社。「IT・通信・インターネット」「サービス・小売・外食」などからもランクインし、業界や規模を問わず多様な企業が並んだ。

 上位20社の「20代成長環境」スコア平均を見ると、3.33点(19年)から4.01点(23年)に上昇。企業ごとでは、半数の10社が4.0点を超える結果(23年のスコア)となった。

「20代成長環境」スコアが上昇した企業には、どのような理由や要因があるのだろうか。まずは、ランクイン企業で実際に働く社員が投稿したクチコミ(原文ママ)を見てみよう。

「パフォーマンスの指標として、2020年より日本独自の取り組みとしてスキルチェックシートが導入されている。従業員すべての職階について、必要なスキルが具体的な行動レベルで示されている」(コンサルタント、現職、男性、EYストラテジー・アンド・コンサルティング)

「営業なので、評価制度では数字はもちろん見られる。ただ数字だけではなく、月1回上長との面談を通じて、成果を日々どういうプロセスで導き出したのかも見てもらえるので結果につながらなかったときも、しっかりプロセスを評価してもらえる」(営業、現職、男性、カチタス)

「ノウハウやナレッジ共有の仕組みを構築し、社員の意識改善を少しずつ進めている。また、人事制度改革を通して、人材の流動性を高め、個人の希望と適正を踏まえながら、全社最適な人材配置を試みようとしている」(プランナー、現職、男性、電通)

「ありとあらゆる自己研鑽機会が提供される。資格取得については大抵のものが受講費、受験料が会社負担となる。資格の難易度に応じて報奨金も支給される。ただし、これはどこの会社でも同様だが、機会を活かすかどうかは社員の自主性に委ねられる」(営業、現職、男性、三井住友ファイナンス&リース)

「最近は社内の異動も流動化しつつあり、キャリア開発については年々制度が整ってきていると感じる」(コーポレート、現職、女性、三菱商事)

「若手にもチャンスが与えられる環境はあり、加えて加速的に年功序列文化からの脱却を目指していることから、今後入社される若手にはより機会があると思われる」(営業、現職、男性、住友商事)

「1on1を試験的に実施している部署もあり、上司のコーチングを受けながらいっしょにキャリア形成を考えていく環境がある」(研究、現職、男性、富士フイルム)

「会社は成長を続けており、ポストも次々生まれるので、次々新しいチャレンジをする環境は整っている。毎年二度の上司との面談を通じて、自分の成長の方向性とスピード感を確認し、それに見合った役割を担えるように可能な限り調整してくれるので、納得感のある成長をすることはできる」(コンサルタント、現職、男性、シンプレクス)

「学ぶ意志のある人なら、活かせる制度や研修コンテンツは大変充実している。特に、社員によって全社参加可能な勉強会が頻繁に開かれるなど、教え合う雰囲気が公式に認められているのは大変良い文化だと思う」(コンサルタント、現職、男性、アビームコンサルティング)

「社内の教育の仕組みは充実している。自薦、他薦で参加できる教育コースや、新規事業への応募もできる仕組みがある。最近では、ウェブラーニングの仕組みも充実している」(エンジニア、現職、男性、日東電工)

「定期的に上司とコミュニケーションをとっており、自身の取り組みに対して適切にフィードバックをもらえるため、取り組んだことに対してきちんと評価される仕組みにある。中長期的なキャリアパスを上司とともに考え、そこに向けて一つ一つ取り組むことで、次のステップに行くことができる体制にある」(資産運用管理、現職、男性、プルデンシャル生命保険)

 各社に寄せられた現役社員のクチコミを見てみると、大きく二つの共通点があることが分かる。