クチコミから見える
「二つの共通点」とは?
一つ目の共通点は、自社の人材育成に関する仕組みや人事制度の変更を評価する声が増えていることだ。研修機会が豊富にあり、本人の希望や適性に応じた社内異動が可能であること、従来の年功序列から脱却しつつあり、若手に活躍のチャンスが広がることを評価する声が見られた。
労働市場の流動化により、一つの会社に長く勤める時代は変わりつつある。若手が切り開こうとする「キャリア」には、自社でのステップアップだけでなく、いずれ転職するという選択肢があると考えられる。業務を通じて身に付く範囲にとどまらず、早いうちから自社の外でも通用する汎用性の高いスキルや知識を得たいと考える若手にとって、学習や活躍の機会が豊富にあることは成長を実感できる環境だといえるだろう。
二つ目の共通点は、自社の強みとして事業が好調であることを挙げたうえで、上司や経営層と緊密にコミュニケーションが取れていることを評価する声が多く見られたことだ。こうした企業では、新しい仕事にチャレンジできる機会が豊富なようだ。
上司から一方的に仕事を与えるのではなく、こまめな面談や適切なフィードバックを通じて、社員が自身に与えられる役割や評価に納得することが成長の実感につながっている様子がうかがえた。
今回のランキングで集計対象とした19~23年は、コロナ禍でリモートワークが増えるなど働く環境に大きな変化があった。コロナ禍という未曽有の危機のなかで仕事を覚えなければならなかった若手にとって、前例のない厳しい環境だったのではないだろうか。
実際に、集計対象期間に投稿されたクチコミにも「リモート環境が進み、受け身な人は孤立してしまう」「顧客と対面での会話の機会が減り、自分の仕事がどのような結果をもたらしているのか想像しづらい」といった声が寄せられていた。
そのような環境のなか、「20代成長環境」の評価を上げた企業は変化に柔軟に対応しながら、コロナ禍に甘んじず社員とのコミュニケーションを怠らなかったことが、若手の成長を引き出したと考えられる。リモートワークの導入や定着により、働く環境の選択肢が増え、「働きやすくなった」と感じる人も多いだろう。
こうしたメリットは保ちつつ、若手社員に対しては、さまざまな仕事への挑戦や自己研鑽(けんさん)の機会の提供、上司や先輩社員に気軽に相談できる環境づくりが一層求められているといえそうだ。