2021年9月にラクスルの1事業としてスタートしてから約2年。現在は従業員数が300人以下の中小企業を中心に、導入企業数が300社を超えた。シリーズAラウンドで44億円を調達した2022年9月と比べて、この1年でARR(年間経常収益)も10倍に増加しているという。
社内で増え続けるSaaSとITデバイスを一括管理
横手氏によると、現在のジョーシスは「SaaS」と「アウトソーシングサービス」の2本の矢、つまり2つの事業が軸になっているという。
1本目の矢は、土台となるSaaSとしての機能だ。ジョーシスでは従業員のデータにひも付けるかたちで、社内のITデバイスやSaaSのアカウントを効率的に管理できる。
「誰が、何のサービスを、どのような権限で利用しているのか」。ジョーシス上では、従業員ごとのデバイスやSaaSの利用状況がリアルタイムで更新される。入退社に伴うアカウントの発行や削除も一括で対応できるため、複数のSaaSを1つずつ開きながら同じ作業をする手間もかからない。
業務効率化に加えて、ガバナンスやセキュリティ強化の観点から、情報システム部門をサポートする仕組みも備える。担当者や経営者が利用状況を把握しきれていないソフトウェア(シャドーIT)や削除漏れが発生しているアカウントがあれば、ジョーシスが自動で検知して適切な対策を促す。
業務プロセス自体をサービスとして提供する「BPaaS」へ
ジョーシスには「SaaSによって効率化された業務そのものを、まるっとアウトソースする」仕組みも用意されている。これは同サービスの大きな特徴であり、横手氏が言うところの、2本目の矢にあたるものだ。
ユーザーはSaaSのアカウント発行や削除、ITデバイスのセットアップ、回収、下取りなどの管理業務をジョーシスにアウトソーシングできる。
ローンチ当初からITデバイスに関する業務をアウトソースできる仕組みは設けられていたものの、ジョーシスではこの1年で対象の領域を拡張してきた。背景にあったのが顧客の声だ。
「(ヒアリングを重ねる中で)そもそもこの業務をやらなくても済むのであれば、それが一番良いというのがユーザーの本音だと感じました。特に中小企業は人手が不足していて、他の業務と兼務している人も多いです。そんな中でデバイスやSaaSの管理といったノンコア業務にはなるべく時間を使いたくない。だからこそ中小企業にとっては、アウトソーシングのサービスこそ、真のソリューションになりうるのではないかという感覚があります」(横手氏)