必ずしも全ての中小企業が最初からアウトソーシングサービスを求めているわけではないが、「将来的にはアウトソースもできるという選択肢があることで、ジョーシスのプラットフォームを導入いただくハードルが下がっている」と横手氏は話す。

単にソフトウェアを提供するだけでなく、ソフトウェアを組み込んだ業務プロセスそのものを提供するビジネスモデルは「BPaaS(Business Process as a Service)」と呼ばれる。ITやソフトウェアの扱いに慣れていない企業がそれらのメリットを享受できる仕組みとしても注目されており、国内ではChatworkなどがBPaaSの取り組みを推進している。

ジョーシスも、この1年で「(SaaSではなく)BPaaSを提供する会社」(横手氏)へと進化を遂げてきた。同社としては内製にこだわらず、パートナー企業ともタッグを組みながら体制を整え、情報システム部門におけるノンコア業務のアウトソースのニーズに応えるためのエコシステムを構築していく考えだという。

これまでは主に日本国内の中小企業や中堅企業を中心に利用企業を広げてきたジョーシスだが、今後はエンタープライズ企業や海外企業へのアプローチも強化する方針だ。

またSaaSの活用は日本以上に米国を始めとした海外で進んでおり、SaaSやデバイス管理に関する課題やニーズはグローバルで存在するものだ。ジョーシスでは一部の国でアルファ版(試験版)を提供してきたが、まずは米国やAPACなどの地域からグローバルでの正式展開を始める。

グローバルチームで世界を目指す

ジョーシスは9月6日に会見を開催。ジョーシス代表取締役社長CEOの松本恭攝氏はあらためて資金調達や海外展開の開始を説明した。

同社のメンバーは現在120人。そのうち日本は30人で、インドに70人、ベトナムに10人の開発メンバーがおり、プロダクトの企画開発は米国・シリコンバレーで行っているという。またAPACではシンガポール、マレーシアに拠点を置いている。松本氏は「グローバルチームで世界を目指していく」と語る。

ジョーシス代表取締役社長CEOの松本恭攝氏
ジョーシス代表取締役社長CEOの松本恭攝氏

またこれまでは顧客の約9割を中小企業(同社の定義では、従業員数300人までを中小企業、300〜3000人までを中堅企業、 それ以上をエンタープライズ企業と定義)が占めていたが、今後はエンタープライズ企業向けの展開をすすめる。

これまでジョーシスは中小企業のIT人材不足や情シス業務の自動化といった課題を解決してきた。だが大企業もコロナ禍を経て常態化したハイブリッドワーク環境の中で、モバイルデバイスやSaaSの管理など、ITガバナンスにまつわる課題を抱えるようになった。これらの課題解決を支援することで、ユーザー拡大をねらう。