もうひとつの習慣は、傾聴習慣です。例えば1on1などをしていても、相手の話を聞きながら次に何を話すべきかを考え、時には相手の話を遮って自分の話したいことを話し始めてしまうこともあるのではないでしょうか。

ただ単にメンバーの話している事柄を聞くというのではなく、内面的な声に耳を傾けることで初めて、相手をひとりの人としてとらえて向き合うことができるようになります。

リモート環境下では特に雰囲気を察することが難しいので、カメラをオンにして相づちだけではなく、うなずきながらすこし大きめにリアクションを取って相手の話を聞き、本音を話してもらいやすい空間をつくります。

そして、最後までゆっくり聞いて、メンバーの話した“事柄”だけではなく、その裏にどんな“心情”が隠れているのかに意識を向け、気がかりな瞬間を感じ取ったらすぐさまそれを伝えてみてください。そうしてアクティブに傾聴していく習慣を身につけることで、メンバーの考えを深く知り信頼関係を築くことができます。

メンバーが育つマネージャーは「コーチ」的

マネージャーは役割として短期的な業績だけではなく、中長期的なメンバーの育成を期待されています。そして、育成が上手なマネージャーは、意識的にせよ無意識的にせよコーチングのエッセンスを上手に取り入れてマネジメントしています。

そしてコーチングをマネジメントに活かす上ではスキルも重要ですが、コーチングの基本である「相手の可能性を100%信じる」というマインドセットを身につけることが大切です。それをメンバーとのコミュニケーションで体現することにこそ、マネジメントの本質があります。

新任マネージャーとして学ぶべきこと、成長しなくてはいけないことは数限りないと思いますが、仕事の大部分を占めるコミュニケーションに力を入れることは、“複利で効く投資”のようなものだと思います。マネージャーとしてのキャリアの初めにコーチングを受け・学ぶことはその後のあなたの仕事を楽しいものに変えてくれる力を持っています。