デジタルへの抵抗感の薄れ、基盤となるデータ整備が少しづつ進んでいる国内においては、データ蓄積、クラウド上のデータ管理をStep 1としたときに、Step 2のデータ統合・データ分析、Step 3の高度なタスクの自動化まで可能というソリューションが出てくるのではないかと注目しています。
3. 責任ある調達、サプライチェーンにおける人権尊重
炭素量の可視化が企業活動として当たり前になってきた中で、次に注目しているのはサプライチェーンにおける、取引先への人権尊重です。炭素量可視化の契機になったのは2015年に設立されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)です。そこから徐々に各プレイヤーの意思決定の「モノサシ」が変わり新しいビジネスが生まれてきています。
同様に人権尊重についてもヨーロッパを中心に各国が法律・ルールを制定、国内においても多くの上場企業が人権方針を制定し、「モノサシ」ができてきている状態です。ブロックチェーン技術やIoTを活用した労働契約内容の違反確認、労働環境・労働時間の可視化が、炭素量可視化の次に注目されるのではないかと考えています。
上記をふまえ、キーワードとしては下記に注目しています。
・AI実装の本格化、高度なタスク自動化
前述のとおり、AIの技術進化を背景に基盤となるデータの整備が少しづつ進んでいる国内においては、ZoomInfoやAlphaSenseなどの類似ソリューションが出てくるのではないかと考えています。
・SaaS同士のディープコラボレーション、ツール、予算最適化、SaaS管理SaaS
今後1社あたりのSaaS導入数が大きく増加する中で、何を使うべきか、どのツールと連携させるべきか知りたい、料金を最適化したいというニーズや、アカウント発行、削除の自動化ニーズは大きく高まると考えています。
・責任ある調達、サプライチェーンにおける人権尊重
炭素量可視化の次のテーマとして、サプライヤーの従業員の労働環境、法令遵守状況を追跡・検証するようなサービスの可能性を感じています。
・副業
アフターコロナの働き方がある程度見えてきた今、可処分時間の増加、自己実現の手段として、大きく動くのではないかと考えています。
・海外旅行の解禁
インバウンド、アウトバウンド問わず、今までに蓄積していた海外旅行ニーズ、訪日のニーズが2023年は一気に高まると考えています。
2023年に注目すべきスタートアップについて教えてください。投資先の場合は、その点を明示してください。
・ブリングアウト
投資先です。オンライン・対面での商談を録音、文字起こしするSaaS「Bring Out」を開発・提供しています。文字起こしの内容から商談相手の予算、課題、ネクストアクションなどの重要箇所を抽出し、日報作成、報告業務などを効率化。蓄積した音声データを元にしたセールスアクションの自動化を目指しており、セールス領域の本格的なDXを担う企業として期待しています。