また、海外の甘味タンパク質を製造している会社にも投資をしています。生活習慣病の原因のひとつである砂糖の代替として人工甘味料がありますが、常習性や健康面への影響が指摘されています。同社の製品はタンパク質由来であり、自然界のものを発酵法によって製造しており、健康に配慮した製品となっています。

Climate Techの観点でもFood Techには注目されており、植物性の代替肉を製造・販売しているDAIZにも投資しています。また、海外のNeutral Foodsにも投資しています。同社はバリューチェーン全体におけるGHG(温室効果ガス)排出量を厳密に計測し、牧場と連携してGHG排出量を削減する取り組みを継続的に行うとともに、カーボンオフセットを活用することでカーボンニュートラルな製品を実現しています。健康面や環境保全の観点からもFood Techは今後も注目される領域です。

2023年のスタートアップシーンや投資環境はどのように変化すると予想しますか。

マクロ経済の動向を踏まえると、インフレ率の上昇は鈍化してきたものの各国の中央銀行は政策金利を上昇させてきており、金利上昇による実体経済への影響が懸念されます。大手調査会社・NDRは98%の確率で世界経済がリセッションに陥ると予測しています。また、海外の大手金融機関は株価の底入れを2023年半ばと予測しており、まだまだ下値を探る期間が続くものと想定されます。

スタートアップ市場においても2022年と同様、欧米では株価に呼応して低迷するものと考えられます。2022年の欧米のプレIPO/IPO市場は大きくダメージを受けていますが、過去のリセッションを鑑みると後にV字回復する可能性もあるため注意が必要です。株価の底入れと合わせてスタートアップ投資も2023年半ばから後半、または2024年には回復が想定され、そうなると投資チャンス到来となるため投資原資は確保しておきたいと考えます。

中国市場は米中間のディカップリングのさらなる悪化により海外ファンドの投資減少が目立ちますが、中国政府がスタートアップに対して積極的に資金注入しており、領域によっては投資チャンスと捉えています。中国スタートアップ市況の本格的な反転はゼロコロナ対策解除後の感染の終息次第ですし、習近平体制の強化により投資リスクは増大していると見るべきです。そのため規制動向には注視する必要があります。新興市場であるインド/アフリカ/中南米は地政学的にいって大きなチャンスを迎えているため、しっかりと投資機会をとらえたいと考えます。