日本市場でいうと、ロシア・ウクライナ危機の影響は他の地域と比較して現時点において軽微ですが、マイナス材料としてVCのファンドレイズが減速しています。並行してVCの投資マインドも冷え込みがちであり、2023年以降の投資に影響を与えそうな予兆があります。
リーマンショックを鑑みても、日本の場合、一旦逆回転すると反転するのに時間のかかる国であり、スタートアップ投資環境は3〜4年低迷する可能性もあります。なお、海外投資家が投資を控えている国内プレIPOスタートアップ市場は引き続き大きなチャンスを迎えています。
2023年の注目すべき領域については、2022年同様、Climate TechやLife Scienceがあげられます。Web3.0は市況の悪化やFTXの破綻によりダウントレンドが続いていますが、課題を解決する新サービスも生まれており、長期的な視野から、優良なプロジェクトを見極めて投資していきたいと考えています。
また、2022年同様に、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えたビジネスやインフレ高に対抗するサービスが引き続き注目されています。非対面・非接触はもちろんのこと、人手不足の解消もキーワードになってきています。新型コロナウイルスの影響により労働参加に制約が生じており、また、インフレによる人件費が高騰していることから、人手に頼らない技術や、より一層のDX化による効率化、生産性の向上が求められています。
2023年に注目する・盛り上がると考える領域、テーマ、テクノロジー、プロダクトなどを教えてください。
・Climate Tech
2023年もClimate Techに注目していきます。2023年以降もグローバルなトレンドとして脱炭素化の流れは加速しますし、それに付随して多くの研究が大学やスタートアップで行われ、イノベーティブなサービスを創造する新たなスタートアップが生まれてくると思います。また、Climate Tech自体の領域も多様化しています。その中で特に注目したいのは、「CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage、回収したCO2の貯留に加えて利用する)」の分野です。これらの技術を有するスタートアップを探索しています。その他、新エネルギーである水素エネルギーや、当社も京都フュージョニアリングに投資していますが、核融合技術についても引き続き注目していきます。
・Life Science
2022年と同様に2023年も感染症、および非感染疾患に対する治療薬を開発しているスタートアップに投資していきます。特に英国を中心にヨーロッパは投資のチャンスと捉えています。世界レベルの技術力がある一方で、起業数や成長段階での資金が少なく、時価総額が高くなりすぎていないため、投資しやすい環境と認識しているからです。