またアメリカで大きなトレンドになっているのが、スタートアップ・クリエーションです。これはVCが大学などの研究成果と起業家をマッチングさせてスタートアップする取り組みです。新型コロナウイルスのワクチンで有名なモデルナは好例で、アメリカのベンチャーキャピタルである「フラッグシップ・パイオニアリング」が2010年に立ち上げました。タンパク質の「設計図」であるメッセンジャーRNAをベースとしたプラットフォーム技術を有し、新型コロナウイルスのワクチンのみでなく、がんや遺伝性希少疾患などさまざまな病気を治すための開発を進めています。一時期、時価総額は20兆円以上にものぼりました。
当社としても、以前からスタートアップ・クリエーションには注目しており、すでにポートフォリオにはVCが起業したスタートアップを有しています。
・FinTech&Web3
FinTech/Web3.0は、2023年以降も注力していく方針です。FinTechへの投資額はグローバル全体で2022年第1〜3四半期は対前年比で10%減少したものの、その減少率は他の領域に比べて少なく、また、SaaS領域に続き、第2位の投資額となっています。投資領域ではEmbedded Finance、Wealthtech、BtoB Payment/Finance、RegTech、Cloud-based core bankingに注目しています。投資地域ではFinTech先進国であるアメリカ、イギリスの動向に注目しながら、市場成長が著しいインドやアフリカ諸国など新興国への投資機会を探っていきます。
Web3.0に関しては、その投資額は2022年第1四半期が大きく増加したこともあり、2022年第1〜3四半期は前年比で61.6%と大きく増加しています。一方、第2四半期以降では市況の悪化の影響を大きく受けており、暗号資産関連銘柄の下落やFTXによる不祥事によりWeb3.0市場は大きく打撃を受けています。当社がベンチマークしているAndreesen Horowitzは約1.7兆円のクリプトファンドを組成していますが、その評価額を大きく下げています。一方、「クリプトはインターネットの新たなベース技術となる」と、その将来性について高く評価しており、今回の低迷は、「起業家を支援する好機」と捉えております。
グローバル・ブレインとしても、Web3.0はインターネットのGDPを増加させるものであり、体制を強化して投資をしていく方針です。具体的には既存DeFiやインフラの構造的課題・技術的課題を解決するDeFi・インフラ、NFTなど新たなアセットクラスに対応するソリューションやDeFi、セキュリティ・コンプライアンス関連のソリューションに注目しています。