先述のとおり2号ファンドは、DeNA単一LPだった1号ファンドと異なり、機関投資家や金融機関の三菱UFJ銀行、第一生命、日本生命、みずほ銀行、三井住友銀行、横浜銀行、そして事業会社の三井不動産なども出資している。
「VCがあるべきパフォーマンスを行うためには、機関投資家をはじめとした金融機関の投資を受け、名実ともにコーポレートVCではなく独立した運営を行うVCとして見てもらわなければなりません。これは1号ファンド立ち上げの時から計画していたことですが、今回、外部から大部分の出資を受けることができました」(渡辺氏)
投資テーマは、「情報の非対称性を解消するビジネス」「社会生産性を劇的に改善するビジネス」「社会の持続性に直接貢献するビジネス」の3つ。渡辺氏は「スタートアップエコシステムには、経済を引っ張っていく大企業を生み出す役割がある」として、投資先選定では「世界に羽ばたく“兆円”企業になるかどうか」を重視すると述べている。このため、1号ファンドでは手がけなかったディープテック領域にも、ファンドの15%程度を投資していく構えだ。
「ディープテックは収益化までの道のりが長く、ビジネスとして成り立たないなどの失敗パターンもよくあります。我々の強みは、ビジネス面でDeNAのアルムナイネットワークからの人材供給や、マーケットリスクの見極め力があること。また技術リスクについては、共に出資するディープテック系のVCなど、専門家に聞きながら投資を進めていきます」(渡辺氏)
また、クライメート(気候)テックについても「Web3やAIより長期かつ本質的・不可逆的な領域なので、注力していくことになると思います」と渡辺氏は述べている。
1社あたりの投資サイズは1号ファンドと同様の数千万円〜数億円で、1社最大20億円を想定。アーリーステージでの投資先の中で大きな成長を見込めるスタートアップには、手厚いフォローオン投資を行っていく考えだ。
社会人起業家候補に伴走しながら投資するビルダーファンド
デライト・ベンチャーズは創業以来、VCとしての純投資と同時に、起業を目指す社会人を対象にした起業機会創出にも取り組んできた。1号ファンドにおいても累計14件、VC資金を調達しての独立・起業を実現している。
ビルダーファンドの設立にともない、南場氏に加えて新たにDeNA出身の坂東龍氏、同じく元DeNA CTOの川崎修平氏が同ファンドのマネージングパートナーに就任した。坂東氏は「みんなのウェディング」事業責任者やペイジェント取締役、SHOWROOM取締役などを務めた人物。川崎氏はエンジニアとして「Mobage」や「モバオク」を3カ月で開発した経緯を持つ。