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プレパラートのデジタル化から遠隔診断まで、病理医をトータルで支援

現在メドメインでは大きく2つのサービスを展開している。1つが標本プレパラートのデジタル化を支援するイメージングセンター。もう1つがSaaSのPidPortだ。

 

このPidPortにはデジタル化した病理画像データを管理する「クラウドストレージ」、オンライン上で病理医に診断依頼ができる「遠隔病理診断」、そして病理画像データをAIがスクリーニングすることで病理医を手助けする「AI画像解析(病理AI)」が内包されている。

病理AIについては日本では薬事承認が必要になるため、2月から海外向けに先行して提供を始めた。そのため国内については病理AI以外の機能が使える状況だ。

病理のデジタルシフトを進める上では、AIで画像解析するにしろ遠隔にいる病理医に診断を依頼するにしろ、プレパラートをデジタルデータに変えることが前提になる。病理の領域ではこの「デジタルデータ化」がネックとなり、業務のオンライン化やAI解析ソリューションの実用化もなかなか進んでこなかった。

背景にあるのがデジタル化に伴うコストだ。専用のスキャナーは通常1000万円以上するため導入ハードルが高く、外部に依頼する場合の平均的な相場は1枚あたり2000〜3000円。やりたくても手が出せなかったという医療機関も多い。

そこでメドメインではオフラインのイメージングセンターを自社で開設し、医療機関などから送られてきたプレパラートを1枚あたり数百円でデジタルデータへ変換する仕組みを作った。そこでデジタル化した病理画像データをPidPortに取り込むことで、普段の業務をもっと効率よく進めることも可能になる。

たとえば病院で顕微鏡を使って行っていた診断やコンサルテーションがPidPort上のビューワーを用いてオンラインで実施できるようになれば、時間や場所の自由度が上がり病理医の働き方も柔軟になる。病理医が不足しているエリアでも遠隔診断を活用することにより、患者へ迅速に診断結果を伝えられるようになるだろう。

日本でも“病理医の診断支援ツール”としてAI画像解析が実用化されれば、医師の診断工数を削減するだけでなく、人間が気づきにくい病気を発見する効果も見込める。

PidPortには大きく3つの機能が内包されている
PidPortには大きく3つの機能が内包されている (拡大画像)

PidPortのルーツは九州大学の非公認サークル

メドメインは代表取締役の飯塚統氏が九州大学医学部に在学中の2018年1月に立ち上げた、九大発スタートアップだ。

飯塚氏はもともと物理学者になることを志していたが、18歳の時に持病の腎臓病で入院。その経験をきっかけに医学への関心が強くなり、研究医の道を目指すべく九大の医学部に進学した。