通常配車係は電話で注文を受け、前日のうちに配車表を完成させてドライバーに伝える。大枠としては車庫でドライバーと車をマッチングさせ、効率よく排出場と処分場を回れるように最低な組み合わせを考えるのだけれど、産廃の収集運搬では頭に入れておくべき「変数」が多いのがポイントだ。

産業廃棄物回収の流れ
産業廃棄物回収の流れ

具体例としてドライバーが60人所属する事業者の話を紹介したい。まず各ドライバーごとに保有している免許が異なり、それによって乗れる車種や行ける場所も違うことをしっかりと押さえておかなければならない。

コンテナと車種も複数種類があり、車種によっても載せれるコンテナ・載せれないコンテナが変わる。それらを考慮しながら約300カ所の排出場を誰が、どのような順番で回るかを決めていくのだが、300カ所の中にも作業種別が5パターンほどあるので、それぞれどのくらいの時間がかかるのかを見積もっておくことも必要だ。

最後は複数の処理場の中から品目にあった場所へ車を迎わせるようにルートを組む。1人のドライバーはだいたい4〜6往復するので、そのルートを60人分作っていくようなイメージだ。これを主に紙やホワイトボード、Excelなどを駆使しながら、手作業で作成する。

産廃の回収に関しては、考慮すべき変数が多いのが特徴
産廃の回収に関しては、考慮すべき変数が多いのが特徴。配車係はこれらを踏まえて、手作業で人数分のルートを作って行く

この例はある程度規模の大きい産廃事業者にはなるが、ファンファーレがターゲットにしている中規模の事業者であっても1日に100カ所ほどの排出場を回るのは珍しくないという。

これだけでも十分複雑なのに、さらに細かい事情が絡んでくることもある。たとえば中小規模の産廃事業者では日雇いのドライバーも多く、人によって「今月はしっかり稼ぎたい」などモチベーションが異なる。また作業所の中には特定のドライバーを出禁指定している場合もあり、配車係はこういった個別の要素も覚えておきながら毎日計画を組むのだそうだ。

前日に綿密に計画を作っても、当日イレギュラーが発生することも日常差万事。1日の作業時間の70%が当日の配車組み替えに使わることもある。

配車係の業務の様子。紙やホワイトボード、Excelとにらめっこしながら毎日配車計画を立てる

単純な業務量に加えて、配車係は「排出業者とドライバーの間で板挟みになる」が故に精神的な負担も大きい。結果として非常に退職率が高い一方で、新しい担当者を採用するのも難しい状態になっているという。

まずはその現状を変え、配車係が働きやすい環境を整備することがファンファーレの直近の目標だ。

7時間かけて作っていた配車計画を3分で自動作成

配車頭は乗務員情報やコンテナ情報、案件情報といった「配車データ」を入力すればアルゴリズムが瞬時に最適なルートを計算し、自動で配車表を作成する。近藤氏の話ではこれまで配車係が7時間かけて作っていたようなものが、3分ほどでできあがるという。