配車頭の画面イメージ
配車頭の画面イメージ。ドライバーごとに1日のルートが作成される

特徴は大きく3つ、「ユニック車のルート回収に対応していること」「産廃業界特有の配車要件に対応していること」「月額制で安価な料金からスタートできること」だ。

そもそも産廃事業者が保有する車には大きくユニック車とコンテナ車の2種類がある。ユニック車とは背中にカゴを何個か分けて積めるタイプで、8トントラックであれば2トンのカゴを4つ積めたりするそうだ。

このユニック車が配車システムを作る上では非常に厄介な存在になる。「どの順番でカゴを降ろすと効率良く回れるのか」といった要素を追加で考えなければならないため、技術的な難易度が高く既存の配車システムでもユニック車には対応できないものが多いのだという。

配車頭ではユニック車にもしっかり対応できるため、事業者から選ばれる1つの理由になりえるとのことだった。

車種の違いや出禁ドライバーなどの話だけでなく、産廃業界には特有の配車要件が少なくない。たとえば「コンテナ洗浄」はその代表例で、汚れた土や焼却灰を運んだ後には一度コンテナを洗浄する必要があり、ルートを組む際にも影響を与える。

そこで配車頭はコンテナ洗浄できる場所や洗浄時間も加味した上で最適なルートを計算できる仕組みを構築。細かい要件を1つ1つ丁寧に数式化することで「(コンテナ洗浄に限らず)人間が普段組むような、現場の実情を踏まえた配車表を自動で作成できる」(近藤氏)という。

ファンファーレではこれらの機能を月額5万円から使えるSaaSとして提供する方針だ。

近藤氏によると業界内ではSIerに依頼して配車システムを開発してもらうのが主流で、数千万円規模の開発コストと数ヶ月〜1年に及ぶ開発時間がかかることも多い。汎用的なパッケージも存在するが、初期費用が高く大手事業者を中心とした一部の企業のみがITを活用できている状況だ。

ファンファーレの初期のターゲットは従業員規模が10〜99名ほどの中小事業者。全体の50%近くを占めるという

数万円から利用できるSaaSにすることで、今まではITの恩恵を受けられなかった中小規模の事業者のデジタルシフトを支援するのがファンファーレの狙い。具体的には従業員規模が10〜99名ほどの企業を初期のターゲットに据えているという。

なお許認可を受けている約12万社のうち、アクティブに運営している事業者は約半数の6万社ほど。その50%弱が配車頭のターゲットになる中小事業者にあたり、3万社近くになる。ゆくゆくは大規模な事業者にもアプローチしていく方針だ。


美大出身の起業家が産廃領域でプロダクトを立ち上げた理由

ファンファーレ創業者の近藤氏は美術大学出身の起業家だ。専門領域のグラフィックデザインのスキルなどを活かし、学生時代から社会課題の解決に繋がるソーシャルビジネスに携わってきた。