在宅情報を得ることで配達効率は88.9%向上

実は都市圏外における配達員の多くは、物流業者のスタッフではなく、彼らと委託契約を結んだ個人事業主(個人配達員)だ。高柳氏によると、「業界の構造上、約7割(の配達員)が個人事業主」だという。

個人配達員の給料は届けた荷物の個数に応じた成果報酬となっていることがほとんど。そのため、受取人が不在で再配達が発生したとしても、時給は発生しない。これを解決するのが207のTODOCUだ。個人配達員と荷物の受取人それぞれに専用のアプリを提供することで再配達の発生を抑え、配達業務の効率化を図る。

配達員は各配達会社のサービスセンターで荷物を受け取り、TODOCUサポーターアプリで伝票を撮影する。データはすぐにOCRを介してデータ化され、アプリ内に配達先住所などが登録される。その後、配達員は受取人にアプリのプッシュ通知、またはSMSで配達時の在宅確認を依頼できる。

受取人はアプリを利用している場合、配達の通知が来たタイミングで「在宅中」、「不在中」、もしくは「置き配を依頼」の3つの選択肢から回答できる。「不在中」を選択した場合は、帰宅予定時間を入力して、受け取りのタイミングを指定できる。アプリで位置情報の利用を許可している場合には、「在宅中」か「不在中」かをアプリが自動で判定してくれる。  

アプリを利用していなくても、在宅情報を回答することは可能だ。その場合、配達員はアプリへの通知ではなくSMSを送信する。受取人はSMSで送られてきたリンクから、回答を行う。   

アプリで“再配達”のない世界を実現、「物流のラストワンマイル」を改革するスタートアップ
TODOCUサポーターの主な機能 提供:207

2019年9〜12月に実施した実証実験では、配達業者がTODOCUサポーターを活用し、東京都の品川区・大田区・目黒区で約3万件の配達を行った。結果として、40%の受取人から在宅に関する回答が得られ、再配達が減り、これまでのほぼ半分の時間(厳密には、配達効率が88.9%上昇)で配達が完了したという。

コロナ禍で提供開始したスキマ便

5月に提供開始したスキマ便は、配達業者、飲食店や小売店に、配達の足を提供するサービスだ。同社はスキマ便のサービスページや、空き時間を活用した単発バイトアプリの「タイミー」上で、数時間単位での勤務を希望するギグワーカーを募集し、「配達パートナー」として登用する。配達パートナーはTODOCUサポーターを活用し、効率的に業務を行える。

アプリで“再配達”のない世界を実現、「物流のラストワンマイル」を改革するスタートアップ
スキマ便のサービスのスキーム 提供:207

高柳氏によると、スキマ便はもともと、数年後の提供開始を目指していたサービスだった。だがコロナで物流がひっ迫していたため、開発を前倒しした。3月から実証実験を行い、5月に提供を開始した。