メディア事業からピボット、ブランドの立ち上げへ
BLASTは2018年1月の創業。もともとは“エンパワーメント”をキーワードに番組・ニュース・インタビュー・スナップなどの4つの形式を軸として、女性のためのトレンドから社会問題までを取り上げる動画メディア「BLAST」を運営していた。
「米国発のミレニアル世代の女性向けメディア『Refinery29(リファイナリー29)』が発信する情報や海外のトレンドに触れているうちに、日本にも女性をエンパワーメントするメディアが必要だと感じたんです」とBLAST代表取締役の石井リナ氏は、こう振り返る。
日本版のRefinery29をうたってスタートを切ったBLAST。ローンチ後から、社会問題やセックスまで多様なトピックを取り扱い、女性たちに多様な価値観、選択肢を提示してきた。
女性を固定観念から解き放ち、タブーなくオープンにいろんなことを話せる社会を目指す──そんな思いでコンテンツを配信してきたBLASTだったが、その世界観はなかなか日本で受け入れられなかった。8カ月ほど運営したものの、Instagramのフォロワーは約7000人。当初、想定していたほどメディアが成長していかなかった。
そうした状況を踏まえ、Instagramストーリーズによるコンテンツ配信もストップし、石井氏は「物理的に女性たちをサポートする」方向に切り替える。
「ジェンダーギャップのある日本で、女性たちをエンパワーするためには先進的な情報が必要だと思い、メディア事業から始めたんです。ただ想像以上にフェミニズムについて発信するメディアは広がりづらく、次第にメディア運営の難しさも感じていきました。であれば、このままメディアの運営を続けるより、物理的に女性たちをサポートしていくブランド事業にフォーカスする方が可能性があるのではないか、と思ったんです」(石井氏)
150人の女性たちの声をもとに、1年半かけて開発
選択肢が少なく、女性たちが抱える問題のひとつが「生理における悩み」だと石井氏は考え、生理用品ブランドを立ち上げることにした。
「女性たちの身体には毎月1度、生理がやってきます。その度に生理用品を購入するのですが、その購入体験は決してワクワクするものではありません。中には、ほかの選択肢を検討せず、紙ナプキンを購入している人も多いと思います。そんな生理用品に新たな選択肢を増やし、女性たちを物理的にサポートしたいと思ったんです」(石井氏)
実際、生理用品ブランドの立ち上げにあたって、石井氏はBLASTのSNSのフォロワーだった女性たちにアンケートを募った。すると、7〜8割の女性たちが紙ナプキンを使っている状況で、タンポンや布ナプキン、月経カップは日本においてマイナーな存在であることがわかり、吸水ショーツを開発することに決めた。